1997 Fiscal Year Annual Research Report
九州地方の火山岩を用いた過去5百万年の地磁気変動の研究
Project/Area Number |
09440160
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渋谷 秀敏 熊本大学, 理学部, 助教授 (30170921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 康人 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20285315)
横瀬 久芳 熊本大学, 理学部, 助手 (50230644)
渡辺 一徳 熊本大学, 教育学部, 教授 (10040049)
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Keywords | 古地磁気学 / 地磁気永年変化 / 阿蘇火山 / 火山岩 / 地磁気エクスカ-ジョン |
Research Abstract |
火山岩を用いた地磁気永年変化(PSVL)の地域性の研究は、地磁気ダイナモモデルを検証する古地磁気データの有力な候補である。世界有数の火山地帯であり、古地磁気学も盛んであるにもかかわらず、わが国のPSVL研究では、VGPの分布の詳細について議論するほどのデータがたまっていない.そこで我々は、九州に豊富な火山岩を用いてPSVL研究を行うこととし、初年度は阿蘇の1Maより若い火山岩を取り上げ、古地磁気を測定した。 阿蘇火山では火山岩類の年代測定、火山層序研究の永年の蓄積で、分布するほとんどの岩体についてその形成時期がわかっていて、1Maよりも若い火山岩は阿蘇地域全体で45確認されている(小野渡辺:1985)。このうち26の岩体から定方位試料を採集し古地磁気を測定した。実験では、各試料の自然残留磁化(NRM)を測定した後、各サイトからパイロットサンプルを選び段階消磁し、その結果を参照して同サイトの残りのサンプルについても適当な段階の消磁を行い初成磁化方向を割り出した. 今回測定した試料はほとんどが正帯磁していたが、阿蘇2-A火砕流、阿蘇2-R火砕流、沢津野溶岩、本塚火山溶岩は中間的な位置に帯磁していた.これらはエクスカ-ジョンやイベントなどの地磁気的現象を観測している可能性があり興味深い。また、逆帯磁の試料は見られなかった。 得られたサイトの磁化の平均方位からVGPを計算し、VGPの緯度が45°より低いものを省いて角分散(ASD)を計算したところ、17.0°±3.4°となった。これは我が国の古地磁気永年変化として既存のデータからShibuya et al,.(1955)が計算した価15.0°よりやや大きいが、誤差の範囲で一致する。また、PSVLのモデルとしてしばしば引用される MceElhinny and McFadden(1997)のモデルGの予言とは、あまり良い一致をみせず、それよりも大きい値をとった。
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