1997 Fiscal Year Annual Research Report
アスペリティ接触の力学にもとづく、断層のすべり予測に関する研究
Project/Area Number |
09440162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
吉岡 直人 横浜市立大学, 理学部, 教授 (10167728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10114696)
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Keywords | 摩擦 / アスペリティ / 個体の接触 / マイクロメカニックス / インデンテーション / 断層運動 / 震源破壊核 / 前兆的すべり |
Research Abstract |
1.インデンテーション装置 摩擦現象の微視的な機構を解明する目的をもって、新たなインデンテーション装置の設計・構築と、同装置のキャリブレーションを実施した.本装置は、アスペリティ接触の動的な拳動を動的かつ極めて高精度に把握することを可能とする能力をもっている.すなわち、圧子の変位機構にリニアモーターを採用することにより、サンプルに対する衝突速度を1ミクロン/秒から数ミリメートル/秒の範囲で自由に選択することが可能である.また、サンプルテーブルも同様の機構を採用することによって、同様の精度で変位させることが可能となった.これにより、準静的なすべり速度から、動的なすべりに至る各段階での、アスペリティ変形の特性を把握することが可能となった.未だ十分な実験データは得られていないが、来年度以降、楕力的に実験を行ってゆく予定である. 2.断層面の波動透過実験 (l)人工的に接触点の数、大きさを変えた断層面を用意し、これにさまざまな周波数をもつ弾性波を透過し、接触面の形状が波動透過率に与える影響を評価する実験を行った.波動透過卒は接触点の分布間隔と透過波動の比によって決定され、波長が接触点の分布間隔に比べて十分大きければ透過率は1に近づくことが分かった. (2)さらに、せん断応力下にある断層面が前兆的すべりを経て、動的すべりに至る過程で、断層を通過する波動がどのような変化を受けるかを、実験によって観察した.まず、せん断応力の増加によって透過波動は著しく増加することが観察された.また、前兆的すべりの進行によってその増加率は減少することも観察された.これらの現象の背後に潜む、マイクロメカニカルな機構を、1.で述べたインデンテーション装置により解明していきたい.
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[Publications] N.Yoshioka: "A revica of the micromechanical approach to the physics of contacting surfaces" Tcatonophysics. 277. 29-40 (1997)
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[Publications] 藤本隆士, 吉岡直人, 他: "接線力のよる接触面間の微小変異特性(第1報)および(第2報)" トライボロジスト. 42巻5号. 75-82 83-90 (1997)
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[Publications] 吉岡直人: "震源域における前兆的すべりを能動的に検出するための研究の必要性とその可能性" 地震II. 51巻(不明). (1998)
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[Publications] N.Kame and T.Yamashita: "Dynamic nucleation process of shallow earthguake faulting in a fault" Geophy.J.Int.128. 204-216 (1997)
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[Publications] T.Tada and T.Yamashita: "Non-hypersingular boundary integral eguations for tao-dimensional non-planar crack analysis" Geophys.J.Int.130. 269-282 (1997)
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[Publications] T.Yamashita: "Mechanical effect of fluid migration on the complexity of seismicity" J.Gerphys.Res.102. 17797-17806 (1997)