1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440179
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小澤 智生 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80037233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
延原 尊美 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30262843)
熊澤 慶伯 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60221941)
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Keywords | 新生代 / 環境変動 / 大量種分化 / 軟体動物 / 哺乳動物 / 絶滅 / ミトコンドリアDNA / 系統進化 |
Research Abstract |
陸生哺乳類(シカ属,ウシ亜科,イノシシ属),海生哺乳類(海牛類,鰭脚類).海生軟体動物(腹足類キサゴ亜科,ウミニナ属)に関して分子系統解析を行うための遺伝子領域(ミトコンドリアDNA16SRNA遺伝子,シトクロームb遺伝子など)の塩基配列を決定し,これらのグループの分子系統樹を作成することができた.ニホンジカと近縁種アカシカを含むシカ属の分子系統解析の成果を論文にまとめ,国際誌(J.Mol.Evol.)に投稿した.また,ユーラシア大陸,東アジアおよび東南アジアの島嶼域に生息するイノシシ属の全ての種についてシトクロームb遺伝子の全領域の配列決定を行い,系統解析を行った.イノシシ属の種分化は,新第三紀以降の主要な気候変動期であるメッシニア期(5Ma),北極海氷床形成期(2.3Ma),氷河性更新世の開始(0.9Ma),更新世の氷期・間氷期に対応して種分化はイベント的に行われたことが明確に示された.今年度,海生軟体動物のキサゴ類,ウミニナ類を対象とした分子系統学的解析においても種分化のタイミングは,新第三紀以降における気候変動の著しい待期とよい一致を示すという結果を得た.これらの成果より,種分化は気候変動(環境変動)に励起され一斉に生じているという本研究課題の作業仮説が支持された. 一方,化石記録の調査に関しては,日本の鮮新-更新世の暖流系動物群の模式である掛川動物群について海洋環境の変遷に伴う種構成の時間的変遷について種分化の観点から解析するとともに,掛川動物群のモノグラフを完成し出版した.また,宮崎県及び南西諸島の新第三系の軟体動物化石群についても,層序学的な見直しを行い動物群の時空分布について新知見を得て論文に公表した.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ozawa,T.et al.: "Pliocene to early Pleistocene warm water molluscan fauna from the Kakegawa Group,central Japan" Bulletin of the Nagoya University Furukawa Museum. Special Rep.6. 1-206 (1998)
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[Publications] Uchihi,R.et al.: "DNA analysis of a grandfather-father-son relationship from 300-year old remains of the Date Clan in Japan." Japanese Jouranl of Legal Medicine. 52. 157-162 (1998)
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[Publications] Kuwayama et al.: "Fossil red deer Cervus elaphus from the sea-floor of the East China Sea off Amakusa-shimoshima Island southwestern Kyushu,Japan." Paleontological Research. 2(1). 1-11 (1998)
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[Publications] Kumazawa Y.et al.: "The complete nucleotide sequence of a snake (Dinodon semicarinatus) mitochondrial genome with two identical control regions." Genetics. 150(1). 313-329 (1998)
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[Publications] 中村羊大ほか: "宮崎県青島地域に分布する上部中新統一下部鮮新統宮崎層群の層序と軟体動物化石群" 地質学雑誌. 105(1). 45-60 (1999)