1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコン年代の大量迅速分析による大陸成長速度の推定
Project/Area Number |
09440185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 茂徳 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50111737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10251612)
磯崎 行雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90144914)
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Keywords | ジルコン / 鉛年代 / ICP-MS / かこう岩成因論 / 大陸地殻 / 超高圧変成帯 / ジルコン包有物 / スラブ溶融 |
Research Abstract |
本研究では、ジルコン一粒の年代決定を行う目的で、レーザーICP-MS装置を開発した。10〜15ミクロンにまで絞り込んだレーザーシステムと、本研究を通じて高感度化に成功したICP-MS装置を組み合わせることにより、微小で、なおかつ1億年以下の"若い"ジルコン試料についても年代決定が可能となった。 東工大では岩石からのジルコンの迅速分離システムが既に確立されているので、コクチェタフ超高圧変成帯の泥質一砂質片麻岩中のジルコンをダイヤモンドが安定な鉱物帯、コーズ石が安定な鉱物帯、石英が安定なエクロジャイト帯、及び角閃岩相の鉱物帯から分離して(総計約250試料から約7000粒)、その中の包有鉱物の種類をラマン分光解析(JASCO NRS-2000)によって同定した。その結果ダイヤモンド帯のジルコンからダイヤモンド、石墨、コーズ石、石英、ひすい輝石、曹長石などが発見された。それらの組織を観察すると、低温低圧で安定な鉱物が累進的に高温高圧で安定な相へと変化していることが明らかとなった。最高変成度は60-70kb、1000℃まで達するが、そのような高温高圧下で何故低温低圧鉱物が残るのかについてはジルコン中の流体の不在が理由であると解釈される。 改造型レーザーICP-MSによって西南日本外帯のかこう岩中のジルコンを分離し、その年代とREEの測定を行った。その結果、多くのかこう岩体はスラプ表層の含水海洋地殻の部分溶融で生成した可能性が高いことが明らかになった。今後、太古代かこう岩に研究を拡大の予定である。研究の最終目的である、川砂のジルコンを用いた大陸地殻成長速度の決定の実験の開始までには至らなかったが、その体制はほぼ整ったので、大陸地殻の成因論の研究と平行して早急に開始する予定である。
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[Publications] Tabata,H.Maruyama,S.and Shi,Z: "Metamorphic zoning and thermobaric structure of the Dabie UHP-HP terrane,central China" The Island Arc. 7. 142-158 (1998)
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[Publications] Takafumi Hirata,Michinari Hattori,Tsuyoshi Tanaka: "In-situ osmium isotope ratio analyses of iridosmines by laser ablation-multiple collector-inductively coupled plasma mass spectrometry" Chem.Geol.(Isotope Geoscience). 144. 269-280 (1998)
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[Publications] Terabayashi,M.and Maruyama,S.: "Large pressure gap between the Coastal and Central Franciscan belts,northem and central California" Tectonophysics. 285. 87-101 (1998)
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[Publications] Robert W.Nesbitt,Takafumi Hirata,Ian B.Butler,James A.Milton: "UV Laser Ablation ICP-MS: SomeApplications in the Earth Sciences" Geostandards Newsletter. 20. 231-243 (1998)