1997 Fiscal Year Annual Research Report
炭素鎖フリーラジカルの電子構造と励起状態ダイナミックスの研究
Project/Area Number |
09440194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40106159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 吉英 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50291331)
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Keywords | 炭素鎖フリーラジカル / 電子スペクトル / 振電相互作用 / 励起状態ダイナミクス / 色素レーザー / 2重共鳴分光 |
Research Abstract |
C_nH、C_nHN等に代表される炭素鎖を持つフリーラジカルは、これまで電波天文やマイク口波分光で活発に研究されているが、その電子状態や電子励起状態の構造、ダイナミクスに関する研究は極めて限られていた。本研究では、このような炭素鎖フリーラジカルの電子スペクトルを観測し、その励起状態のダイナミクスを明らかにすることをめざした。 本年度は、C_4HおよびC_4Dラジカルの近紫外域の電子遷移の詳しい解析を行い、励起状態の複雑な振電相互作用(Renner-Teller効果)に対する理解を得ることができた。また、このラジカルの励起状態では、背景となる状態密度の高い非発光状態との相互作用により、見かけの蛍光寿命が短くなり、2重指数関数的な蛍光の減衰を示すことが確認された。 星間分子として重要なCCSラジカルの可視域の電子遷移を初めて帰属し、電子励起状態の分子定数を決定すると共に、分散蛍光を観測することで、これまで未知であったこの分子の電子基底状態の振動数を精密に決定することができた。更に、C_4Hと同様に励起状態のダイナミクスに興味がもたれるHCCSとHCCNラジカルの電子励起状態のスペクトルの系統的な観測を行い、励起状態および電子基底状態における複雑な振電相互作用の解明の糸口を得た。 また、本年度は新たにスペクトル線幅0.02cm^<-1>の高分解能の色素レーザーを導入した。これにより、2重共鳴分光が可能になり、上記の各ラジカルの複雑な振電構造の解明に利用できる体制を整えることができた。
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Research Products
(1 results)