1998 Fiscal Year Annual Research Report
炭素鎖フリーラジカルの電子構造と励起状態ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
09440194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40106159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 吉史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50291331)
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Keywords | 炭素鎖フリーラジカル / 電子スペクトル / 振電相互作用 / 励起状態ダイナミクス / 2重共鳴分光法 / SEP分光法 |
Research Abstract |
C_nH、C_nN等に代表される炭素鎖を持つフリーラジカルは、これまで電波天文やマイクロ波分光で活発に研究されているが、その電子状態や電子励起状態の構造、ダイナミクスに関する研究は極めて限られていた。本研究では、このような炭素鎖フリーラジカルの電子スペクトルを観測し、その励起状態のダイナミクスを明らかにすることをめざした。 本年度は、初年度に導入した色素レーザーを使用して、炭素鎖ラジカルHCCSに対して2台の色素レーザーを用いたSEP(stimulated emission puming)分光を行った。HCCSラジカルは電子基底状態、および電子励起状態ともに縮重した電子状態を取り、極めて複雑な振電相互作用(Renner-Teller効果)をしていることが知られている。この振電相互作用の解明のための貴重なデータが得られた。SEP法は広く使われている分光法であるが、HCCSのようなラジカル種に適用された例は極めて少ない。 昨年度、星間分子として重要なCCSラジカルの可視域の電子遷移を初めて帰属し、電子基底状態に関し全く新しいデータを得ていた。今年度は、電子励起状態の更に詳しい情報を得るべく、全く新しい構成によるマイクロ波-レーザー2重共鳴法を開発し、S/Nの良い2重共鳴信号を得ることができた。この方法は、マイクロ波スペクトルの観測されている他の炭素鎖分子の電子スペクトルの観測にも極めて有力な新しい方法である。この実験の成功は、本研究計画の遂行の極めて大きなステップになると考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Hoshina: "Laser-induced fluoresoence spectroscopy of the C_4H and C_4D radicals in a supersonic jet" Journol of Chemical Physics. 108. 3465-3478 (1998)
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[Publications] A.Mizoguchi: "Rotational Spectrum of a Salt Cantaining vander lVcals complex : Ar-NaCl" Journal of Chemical Physics. 109. 10539-10542 (1998)
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[Publications] K.Tonaka: "Dekemination of the proton tunneling splitting of tropolone in the grourd statey microwave spectroscopy" Journal of Chemical Physies. 110. 1969-1978 (1999)