1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440196
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渋谷 一彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30126320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 和秀 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40262258)
河合 明雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50262259)
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Keywords | 吸収スペクトル / リングダウンタイム / レーザー分光 / ラジカル / 濃度ラベル法 |
Research Abstract |
濃度ラベル法とキャビティダウン法を組み合わせたラジカルの吸収スペクトルの絶対測定装置を立ちあげている。 濃度ラベル法は同一の化学種(本実験ではラジカルA)に起因するエネルギーレベル1、2、3間の遷移ν_<13>とν_<12>はレベル1を共有するため吸収強度に相互干渉が起こる。そのため、吸収スペクトルの相互干渉を通して確実にその吸収がラジカルAに起因し、他の化学種に依らないことを確認することができる化学種選択性に最も優れた吸収分光法である。本研究ではν_<12>としてラジカルの赤色光吸収を用いる。紫外吸収で濃度ラベルするよりも化学種の選別に優れた方法である。今年度はNO_2を特定の電子・振動・回転状態を指定して、200nm以短の紫外部の吸収スペクトルを測定することに成功し、これまで室温で分布した条件での測定しかなかった前期解離状態の線幅を決定することができた。 キャビティダウン法は本来マイクロ秒程度の遅い化学反応の速度定数を精度良く測定するために最近考案された方法である。ここではその手法を低濃度のラジカル検出に利用する。真空フローセルの両端に反射率99.83%の凹面鏡(r=2m)を設置した。このキャビティにレーザー光線を導入してミラー間での多重反射で1千回のオーダーで往復させることができた。したがって光路長は1km程度となり、バックグランドレベルにある大気中NO_2の吸収計測が出来る条件には及ばないが、汚染大気中の計測には十分利用できる装置となった。今後の改良で充分に実大気計測が可能であることが確認された。大気ラジカルの中で最も反応性に富むため最も低濃度であるOHラジカルをも検出できる程度に高感度化された吸収計を完成する予定である。
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[Publications] Tsuji et al.: "Electronic spectroscopy and predissociation of Ar-ND" Chem.Phys.231. 279-288 (1998)
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[Publications] Takeda et al.: "Heats of formation of transient radicds in solution" J.Photochem.Photobio.A : Chem.115. 109-115 (1998)
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[Publications] Tanaka et al.: "Uisible light induced O atom transfer from NO_2 to TMA" Rev.Chem.Intermediates. 24・8. 893-903 (1998)
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[Publications] Shrestha et al.: "Photochemical α-cleaUage reaction of benzoin" J.Photochem.Photohio.A : Chem.116. 179-185 (1998)
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[Publications] Abe et al.: "Laser flash photolysis studies on BPK-TEA complex-formation" J.Phys.Chem.(in press). (1999)