1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションによる脂質二重層膜とイオン透過の動力学
Project/Area Number |
09440197
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡崎 進 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70194339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 伸一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10282865)
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Keywords | 分子動力学法 / 脂質二重層膜 / イオンチャンネル / グラミシジンA / DPPC / DMPC |
Research Abstract |
DPPC並びにDMPC脂質二重層膜に対し、アルキル鎖に対して改良したポテンシャル関数を用いて、Nose-Parrinello-Rahman法によるNPTアンサンブルでの長時間分子動力学計算を行い、得られた軌跡より膜分子のコンホメーションに関してゴ-シュ・トランス比とその転位の動力学、オーダーパラメータ、キンク濃度等についての解析を行った。一方で、集団的性質としての膜面積のゆらぎについて、ポロノイ多角形による定義に従った解析を行い、一粒子関数と集団の性質との関係や、ゆらぎに対する分子論的描像を得た。その結果、膜中のたんぱく質等の構造や活性に、膜のゆらぎが大きく関与している可能性を明らかにした。 一方で、膜を横切っての低分子の膜透過に関しては、頻度の小さい事象を解析し得る自由エネルギー計算のいくつかの方法に対してプログラムを作成し、本研究における問題に対する適合性の検討を行った。その結果、平均力ポテンシャルの直接計算による方法を採用することとし、計算精度や計算に必要な時間などに関しての詳細な検討を行った。現在水の透過に際しての自由エネルギープロファイルの計算を実行中である。 さらに、イオンチャンネルを介してのイオン透過に対する計算プログラムの作成を行い、グラミシジンAに対しこれを完成させた。現在は、イオンの存在しない参照系に対する計算を実行中である。また、グラミシジンAの動力学の研究には極めて長時間のシミュレーションが必要となるため、超並列演算器を利用したプログラムについても検討中である。
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