1998 Fiscal Year Annual Research Report
過冷却液体の協同運動モードに対する空間的・時間的スケール
Project/Area Number |
09440199
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 浩康 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50023081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 辰郎 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60252269)
香田 忍 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10126857)
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Keywords | 過冷却液体 / 協同運動 / 超音波緩和 / 誘電緩和 / ラマン散乱スペクトル / エチレングリコール四量体 / ヘキサントリオール / プロピレングリコール |
Research Abstract |
本研究では、超音波緩和スペクトル、誘電緩和スペクトル、およびラマン散乱スペクトルを広い温度範囲で測定することにより過冷却液体の協同運動の空間的・時間的スケールの知見を得ることを目的としている。本年度は、プロピレングリコール、1,26-ヘキサントリオールおよびヘキサントリオール-エチレングリコール四量体混合系(PEG)において、実験を行った。 プロピレングリコール、ヘキサントリオールの超音波緩和スペクトルでは、二段緩和が観測されたPEGとは異なり、温度時間換算側が成立した。緩和スペクトルは、Kohlrausch-Williams-Watt(KWW)型の一つの緩和関数で表現することができた。また、緩和時間の分布を表す指数β_<KWW>は、プロピレングリコール、ヘキサントリオールでそれぞれ0.8、0.4となった。 ヘキサントリオール-PEGの混合系の超音波緩和測定は組成比3:1、1:1、1:3で行った。すべて、温度時間換算側が成立し、二段緩和現象が見られず、KWW型の一つの緩和関数で表現することができた。また、β_<KWW>はヘキサントリオールの組成が大きくなるにつれ、減少した。 以上の系での粘性の温度依存性からより得られるAngellのDパラメータの値は8.5以上であり、粘性率の急激な温度変化が小さく、このことが今回観測した温度、周波数領域において、二段緩和が観測できなかった一因だと考えられる。 ヘキサントリオール、ヘキサントリオール-PEGの1:1混合系で低周波ラマンスペクトルの測定を行い、ボゾンピークを観測した。その結果、ボゾンピークから得られたヘキサントリオールの構造相関長の温度依存性は、PEGより小さかった。1:1混合系での構造相関長の温度依存性は、ほぼヘキサントリオールのものと等しくなった。このことから、ポゾンピークで観測されるps、nmの時間、空間スケールの温度による変化と、高粘性液体の超音波緩和スペクトルの挙動と相関をもつことが確かめられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Koda et al.: "Water Retention Capacity of Cellulose Derivatives by the Compression Method" Macromolecular Chemical Physics. 199・8. 1489-1493 (1998)
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[Publications] T.Shibata et al.: "Deporlarized Light Scattering in the Isotropic Phase of Liquid Crystals" Journal of Chemical Physics. 199・8. 2038-2042 (1998)
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[Publications] T.Sakurai et al.: "Coherent Brillouin Scattering for Ultrasonic Measurements in Liquids" Journal of Acoustical Society of Japan. 19・4. 297-299 (1998)
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[Publications] T.Sakurai et al.: "The Vibrational-Translational Energy Transfer in Binary Mixtures: Influence of the Vibrational Mode Close to the Lowest Mode Droup Relaxation" Japanese Journal of Applied Physics. 37・11. 6098-6101 (1998)