1999 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域超音波による生体機能物質と溶媒の相互作用に関する特性評価の実験的研究
Project/Area Number |
09440202
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
西河 貞捷 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40039293)
|
Keywords | 超音波 / 化学緩和 / 水構造 / プロトン転移 / 同位体効果 / シクロデキストリン / ヌクレオチド |
Research Abstract |
1.種々のアミン重水溶液の超音波吸収を測定し、プロトン転位反応の速度論的熱力学的諸量を決定した。それらの結果を軽水の場合と比較検討し、同位体効果を調べた。プロピルアミン、ブチルアミンでは拡散律速反応は水構造の発達により加速されるが、エチルアミン、ペンチルアミンでは減速される結果となった。これらの同位体効果を反応半径とステリック効果により説明した。また疎水基の大きいアミンでは会合解離反応に基づく緩和も観測し、その同位体効果も検討した結果、重水中ではさらに小さな会合体が形成されることが判明した。さらに会合解離反応の速度論的諸量も求めた。 2.ヌクレオチド、ATP,ADP,AMP及びGMP水溶液の超音波緩和の原因がグリコシド結合の回りの回転異性化反応に基づくことを明らかにし、その反応速度定数、エネルギー等を決定した。この回転運動はリン酸基と塩基の相互作用とリン酸基の大きさに関連することが速度論的に解明された。 3.βシクロデキストリン(ホスト)とエーテル又はエステル(ゲスト)を含む水溶液の超音波吸収の測定より、その緩和の原因が複合体形成崩壊によるものであることを明らかにし ゲストの分子構造とホストの機能との関連を調べた。その結果、複合体の安定性はホストからゲストが放出される速度によってほとんど決まることが判明した。しかしながら、これらの非電解質の親水基もホスト分子の縁に存在する水酸基と相互作用をしており、その大きさは反応の体積変化に反映されることか明らかになった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] S.Nishikawa,N.Kuramoto,H.Huang,F.Jordan: "Kinetic and Thermodynamic Study of Syn-Anti Glycosyl Isomerization in Aqueous Solution of AMP,ADP and ATP"J.Phys.Chem.B. 103・18. 3754-3757 (1999)
-
[Publications] H.Huang,S.Nishikawa,S.Dong: "Ultrasonic Relaxation Kinetics on Fast Deuterun Transfer Reaction"J.Phys.Chem.A. 103・20. 3804-3808 (1999)
-
[Publications] H.Huang,S.Nishikawa,S.Dong: "Isotope Effect in Proton-Transfer and Association-Dissociation Reactions by Ultrasonic Relaxation Methods"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 72・8. 1741-1747 (1999)
-
[Publications] H.Huang,S.Nishikawa,S.Dong: "Kinetic Isotope Effect of Proton Transfer Reaction for Amines by Ultrasonic Relaxation Methods"J.Phys.Chem.A. 103・44. 8799-8802 (1999)
-
[Publications] S.Nishikawa,H.Huang,F.Jordan: "Structural Effect of Nucleotides on Syn-Antz Gycosyl Isomerization Kinetics by Ultrasonic Relaxation Methods"J.Phys.Chem.B. 104・6. 1391-1394 (2000)
-
[Publications] S.Nishikawa,T.Ugawa: "Dynamic Interaction between Cyclodextrin and Nonelectrolytes in Agueous Solution by Ultrasonic Relaxation Method"J.Phys.Chem.A. (in press). (2000)