1997 Fiscal Year Annual Research Report
極低温マトリックス分離分光法を用いた有機化学反応素過程の研究
Project/Area Number |
09440214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 滋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40192447)
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Keywords | マトリックス分離分光法 / 短寿命反応中間体 / 光化学反応 |
Research Abstract |
本年度は、極低温マトリックス分離分光法を、有機化学反応の過程に介在する短寿命反応中間体の一般的、かつ総合的研究手法として確立させることを目的として、従来の研究におけるこの手法の問題点を探索し、それらを解決するための実験手法の改良等を行った。この研究手法が有機化学反応素過程の一般的な研究手法として利用されるための最も大きな障害になっているのは、(1)低揮発性試料の導入方法が室温付近において気化、あるいは昇華させた試料を蒸着直前にホストガスと混合する方法に限られていること、(2)反応中間体の発生方法が光化学反応に制限されていること、と考えられる。これらの問題を解決し、さらに、従来この手法が適用できなかった不揮発性有機化合物を前駆物質として用いることができるようにするために、(1)加熱導入管を装着した低揮発性試料の直接導入用ジャケットの設計、(2)クライオスタット内部回転機構を導入した装置の改良、を試みた。現在、それらの製作が進行している。改良を施した極低温マトリックス分離分光装置によって、この手法に適用できる前駆物質の範囲が拡大するとともに、観測手法も赤外、紫外可視分光法だけでなく発光スペクトル等が適用できる可能性があり、極低温マトリックス分離分光法を用いて様々な有機化学反応の素過程が研究できるものと期待される。
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