1998 Fiscal Year Annual Research Report
サレン金属錯体触媒を用いる酸化反応の反応機構の解明と新規触媒の開発
Project/Area Number |
09440220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香月 勗 九州大学, 理学部, 教授 (40037271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 亮 九州大学, 理学部, 助手 (70243889)
伊藤 芳雄 九州大学, 理学部, 助教授 (00221086)
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Keywords | 不斉ヒドロキシル化反応 / 不斉エポキシ化 / サレン-マンガン錯体 / 不斉(2,3)-Wittig転位 |
Research Abstract |
最近、筆者らは所謂第2世代のサレンマンガン錯体がオレフィンの不斉エポキシ化やC-H結合の不斉ヒドロキシル化の優れた触媒であることを報告しているが、それらの不斉誘起機構にはまだ未解明の点が残されている。今回、東京工業大学資源化学研究所、諸岡良彦教授との共同研究により第2世代のサレンマンガン錯体の構造解析を行った。構造解析の結果より、以下の興味ある知見が得られた。 1) 筆者らが提唱していたようにサレンマンガン錯体の配位子は折れ曲がったステップド配座をとっており、その折れ曲がりのセンスが不斉誘起に大きな影響を与えることが明らかにされた。 2) 第2世代のサレンマンガン錯体の特徴である配位子内のビナフチル骨格部が基質の認識を行うことが示された。これは、これまで困難であったC-H結合の不斉ヒドロキシル化が第2世代のサレンマンガン錯体を用いることにより高選択的に達成されることと密接に関連しているものと思われる。このサレンマンガン錯体の分子認識能に関しては、他の基質を用いるなどして今後も研究を続けていく予定である。 これらの研究と並行して、サレンコバルト錯体を用いる不斉シクロプロパン化と不斉[2,3]-Wittig転位を検討しているが、後者の生成物の立体化学を決定して、その不斉誘起の機構に関して有用な知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ryo Irie: "X-Ray Structures of Chiral(Salen) manganese(III)complexes:Proof of Flex-ibility of the Salen Ligand." Chemistry Letters. 1998. 1041 (1998)
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[Publications] Tsutomu Fukuda: "Catalytic Asymmetric(2,3)Sigmatropic Rearrangement:Co(III)-Salen Catalyzed S-Ylide Formation from Allyl Aryl Sulfides and Their Rearrangement." Tetragedron. 55. 649 (1999)