1999 Fiscal Year Annual Research Report
サレン金属錯体触媒を用いた酸化反応の反応機構の解明と新規触媒の開発
Project/Area Number |
09440220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香月 勗 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40037271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 亮 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70243889)
伊藤 芳雄 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00221086)
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Keywords | 不斉ヒドロキシル化 / CH-π / サレンマンガン錯体 / 不斉エポキシ化 / サレンルテニウム錯体 / 速度論的分割 / 分子状酵素 |
Research Abstract |
オレフィンの不斉エポキシ化やC-H結合の不斉ヒドロキシル化の優れた触媒である第2世代のサレンマンガン錯体は、単結晶X線構造解析の結果などから折れ曲がったステップド配座をとっていることが分かってきた。また、この配座は柔軟性が高く、CH-πやOH-πなどの弱い相互作用などがその特性に大きく関わっていることなどかなり解明することができた。 一方、これらの解析結果に基づいて設計した錯体を用いてこれまで困難であった数種の不斉触媒反応を検討し、以下のような成果をあげた。 1)第二世代のサレンマンガン錯体の芳香環部分のナフチル基をフェニル基に置き換えた錯体を用いてオレフィンの不斉エポキシ化を検討したところ、基質がトランスオレフィンの場合でも高い不斉誘起が達成できることがわかった。例えばトランス-スチルベンの不斉エポキシ化で初めて99%ee以上の不斉収率を達成した。化学収率も十分高く、実用的な不斉エポキシ化法を開発することができた。 2)サレンルテニウム錯体を用いる反応も種々検討したところ、ラセミのエポキシドの速度論的分割などにおいて不斉ルイス酸触媒として大変有用であることがわかった。興味あることに本触媒は光照射下で活性化される。例えば、ラセミのエポキシドを基質として用いた場合、光照射下で相対速度50以上という高い分割効率を達成した。また、シクロプロパン化でも初めて高シス、高エナンチオ選択性を達成することができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Jun Mihara: "Phto-controlled Lewis Acidity:Chiral (ON)Ru-Salen Catalyzed Hetero-Diels-Alder Reaction and Kinetic Resolution of Recemic Epoxides"Synlett. 1999・7. 1160-1162 (1999)
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[Publications] Hisashi Nishikori: "Mn-salen Catalyzed Nitrene Transfer Reaction:Enantioselective Sulfimidation of Alkyl Sulfides."Tetrahedron. 55・. 13937-13946 (1999)
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[Publications] Tatsuya Uchida: "Chiral(ON)Ru-Salen Catalyzed Cyclopropanation:High Cis-and Enantio-selectivity"Synlett. 1999・7. 1163-1165 (1999)
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[Publications] Tatsuya Uchida: "Highly Cis-and Enantioface-Selective Cyclpropanation Using(R,R)-Ru-Salen Complex:Solubility Dependent Enantioface Selection"Synlett. 1999・11. 1793-1795 (1999)