1997 Fiscal Year Annual Research Report
異相界面での溶液エピタキシ法による金属錯体積層膜の分子構築
Project/Area Number |
09440233
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
芳賀 正明 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (70115723)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文珠四郎 秀昭 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80191071)
|
Keywords | 表面錯体化学 / ラングミュアブロジェット膜 / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
本研究は、表面での金属錯体の配向制御およびその機能発現を目指して錯体化学における錯形成反応に基礎を置く新しい分子配向法としての「表面錯体化学」の確立を目標としている。本年度は表面での錯形成過程および多核錯体構造の構築に重点をおいて検討した。LB膜表面上に架橋配位基を残した長鎖アルキル基を有する配位子2,6-ビス(N-オクタデシル-ベンズイミダゾジル)-ピリジン(C18L)を新規に合成し、両親媒性のルテニウム錯体を合成した。ルテニウム錯体をLBトラフ上の気水界面に展開し、下層液からの錯形成反応およびそのドメイン形成過程をマルチチャンネル分光測光装置を用いて吸収変化あるいは蛍光変化として観察した。純水の場合には、極限分子面積は1.55nm^2/分子であるのに対して、銅イオンを含む場合には極限面積が2.70nm^2/分子まで膨張した。純水の場合には、錯体はY型LB膜として垂直浸積法によりガラス、金などの基板に累積可能である。錯体膜をガラス基板に23層積層した時のXRDは3次までの回折線が観察され、層間距離は4.16nmと算出できた。下層液に銅イオンを含む場合には、一層目は累積比1でガラス基板に移しとることができる。この基板のXPS測定を行ったところ、Ru3d_<5/2>とCu2Pの相対比が1:1であり、界面で銅イオンの錯形成が起こり、それが累積されることが明らかになった。原子間力顕微鏡(AFM)により、水面上の単分子膜をマイカ基板上に写し取り、そのモルフォロジーについて検討した。その結果、表面圧の低い領域では1〜5μm程度のドメインを形成し、圧力とともにこのドメインが集合していき、圧力とともに均一なLB膜となっていく様子が観察された。表面上での錯体の配向やドメイン形成に関する情報について分子レベルでの情報が得られた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Masa-aki Haga,et al: "Metal Coordination to Amphiphilic Ru Complexes at the Air-Water Interface" Supramolecular Science. (印刷中).
-
[Publications] Masa-aki Haga,et al: "Spectroelectrochemical Analysis of Intervalence Band in Mixed-valence Di-and Tetranuclear Ru Complexes by Flow-through Method" Inorganic Chemistry. (印刷中).