1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440234
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 龍一 筑波大学, 化学系, 教授 (90022631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 五十六 筑波大学, 化学系, 助手 (40302351)
石丸 臣一 筑波大学, 化学系, 講師 (10251034)
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Keywords | 一次元水素結合系 / 水素移動 / 核四極共鳴 / 固体NMR |
Research Abstract |
一次元的な水素結合ネットワークを形成している固体水素結合系において、長距離のエネルギー移動のメカニズムとして理論的にその存在が予想されている水素原子の変位に伴うキンク型のソリトンの実験的検出が本研究の目的である。本研究の特徴は、ソリトン検出の手段として、これまでよく使用されてきた核磁気共鳴法のほかに結晶中の僅かな原子の変位を高感度で検出可能な核四極共鳴(NQR)法を使用することである。 1)本研究費を用いてNQR測定用に設計、製作したヘリウム温度領域まで測定領域の拡大した低温用のクライオスタットを取り付けたNQR分光器の調整を行い、標準試料をもちいた信号の測定を種々の条件下で繰り返して、ほぼ本研究の目的に使用できる段階まで測定感度を上げることに成功した。 2)この装置を用いて、水素結合を形成している水素が分子間において共同的に交換することが予想されているp-クロロ安息香酸について、^<35>ClNQR周波数とスピン格子緩和時間の温度依存性を測定した。その結果、水素交換が遠く離れた塩素核の位置でも観測されることを実験的に明らかにし、水素交換による電場勾配の揺らぎが共役系を通して塩素に影響を及ぼすことが示された。 3)さらに多くの水素が共同的に移動する現象を調べる目的で、クロラニル酸とジアジンの(12)分子錯体塩について、塩素NQRを測定した。水素NMRで観測される運動以外に新たに2種類の水素の共同的運動をNQR法によって、検出することに成功した。 以上の研究によって、これまで前例のないNQR法を用いた分子間水素移動の高感度の新研究手法を確立することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Yamashita 他8名: "Charge Fluctuation in MMX Chain Compounds,A_4[Pt_2(pop)_4I]nH_2O"J.Am.Chem.Soc.. 121. 2321-2322 (1999)
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[Publications] M.Yamashita 他9名: "Tuning of Spin Density Wave Strengths in Quasi-One-Dimensional Halogen-Bridged Ni^<III> Complexes With Strong Electron Correlations,"Inorg.Chem.. 38. 1894-1899 (1999)
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[Publications] K.Suzuki 他2名: "C^<133>sNMR Spin-Lattice Relaxation Studies in Incommensurate Cs_2MBr_4(M=Cd,Hg)"J.Phys.Soc.Jpn.. 68. 1963-1967 (1999)
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[Publications] N.Kimura 他5名: "Electron Spin Carriers in Halogen-Bridged 1-D Complexes with Non-degenerated CDW Ground State"Synth.Metals. 103. 2604-2605 (1999)
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[Publications] K.Suzuki 他2名: "Studies on C^<133>sNMR Spectra and Spin-Lattice Relaxation Times in Incommensurate Cs_2HgCl_4"Z.Naturforsch.A. in Press.
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[Publications] T.Nihei 他2名: "C^<35>lNQR Studies of Hydrogen Transfer in Crystalline p-Chlorobezoic Acid,"Naturforsch..A. in press.