1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿波賀 邦夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10202772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲辺 保 北海道大学, 大学院・理学系, 教授 (20168412)
和田 信夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90142687)
藤田 渉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50292719)
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Keywords | 低次元磁性体 / スピンギャップ / カゴメ格子 / スピンラダー |
Research Abstract |
有機ラジカル塩m-MPYNN・X(X=I,BF_4など)は、スピン・フラストレートした2次元カゴメ反強磁性体とみなすことができる。我々はm-MPYNN・BF_4の磁化率が絶対零度でゼロに向かうことを見いだしており、これからスピンギャップ状態の存在を提唱している。本研究では、ヨウ素塩において、m-MPYNN中のメチル基を延長した化合物を作成し、その構造と磁性を調べた。構造解析の結果、元々のメチル誘導体はtrigonal晶系に属するのに対して、エチルとプロピル誘導体の結晶はmonoclinic晶系に属することが分かった。さらに詳しく構造をみると、エチルとプロピル誘導体中では、僅かに歪んだカゴメ格子が実現されていることが分かった。この系が有機分子磁性体であることを最大限に利用し、「僅かに歪んだ格子上のスピン・フラストレーション」の研究を可能にすることができた。これらについて極低温で磁気測定と熱測定を行ったところ、メチル誘導体中で存在していたスピンギャップ状態が、カゴメ格子の微妙な変形とともに消失してしまうことが明らかになった。さらにプロピル誘導体の磁化率と比熱は、極低温で何らかの磁気転移の存在を示唆しており、スピンギャップ状態の崩壊が、新たな磁気転移につながることを見いだした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] W.Fujita: "EXAFS Study of the Structural Modifications Induced into the Cu_2(OH)_3 layer by Interlayer-Alkylcarboxylate" Inorg.Chem. 36. 196-199 (1997)
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[Publications] N.Wada: "Observation of Spin-Gap State in Two-Dimensional Spin-1 Kagome Antiferromagnet m-MPYNN・BF_4" J.Phys.Soc.Japan. 66. 961-964 (1997)
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[Publications] W.Fujita: "Reversible Structural Transformation and Drastic Magnetic Change in a Copper Hydroxides Intercalation Compound" J.Am.Chem.Soc.119. 4563-4564 (1997)
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[Publications] K.Awaga: "Unusual Crystal Structures and Magnetic Properties of Nitronylnitroxide Radical Ions" Synth.Metals. 85. 1643-1646 (1997)
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[Publications] H.Imai: "Ferromagnetic Interaction between Nitronyl Nitroxide Radical Cations in a Semicondunting Salt" Synth.Metals. 85. 1705-1706 (1997)
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[Publications] T.Origuchi: "Ferromagntic Linear Chain of p-NPNN・Cu(hfac)_2 with Enhanced Interchain Interaction" Mol.Cryst.Liq.Cryst.296. 281-292 (1997)