1997 Fiscal Year Annual Research Report
自発的に非対称場を生み出す「多親媒性」ふっ素分子組織体
Project/Area Number |
09440243
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石川 雄一 大分大学, 工学部, 助教授 (30184500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江田 善昭 大分県産業科学技術センター, 研究員
吉見 剛司 大分大学, 工学部, 助手 (90284786)
佐々木 健夫 大分大学, 工学部, 講師 (80261501)
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Keywords | フッ化アルキル鎖 / 多親媒性 / 非対称場 / 自己組織性 / メソゲン / 油ノ水界面 |
Research Abstract |
二分子膜の高度な秩序性を利用できるのは、その膜面内の二次元に限られる。これは、二分子膜が「向かい合って」配向しているためである。従って、膜表面に配列した機能ベクトルは、その裏の面にある逆方向を向いた自身で相殺してしまい、膜の垂直方向の配向性は活かせない致命的な欠点がある。また、液晶もその分子配列に関して、二分子膜と本質的に同様な問題が残されている。液晶分子は、その双極子モーメントが head-to-tail 型に配列し、head-to-head型で同一方向へ自発的には配向しにくい。これらの配向様式は、自身の構成ベクトルを相殺させてしまう。本研究では、このパラドックスを打開する自己組織性の脂質と液晶化合物の合成を行った。フッ素長鎖の撥油性をその疎水性に相乗させる方法を分子設計に採用し、次の3点の事を今年度実施した。 (a).「非対称なフッ素分子の合成ルートの確立」:ここでは、ベシクル膜の「外層と内層」で分極して、強力なベクトル性を発現する分子膜の形成を狙った。分極は、親水基の電荷の有無により導く。構成分子として、半フッ素化されたアルキル鎖(-(CH2)n-(CF2)m-)の片端に電荷を持つ親水基、残りの端に中性の親水基の合成ルートを確立した。 (b).「油水界面でのフッ素合成物の組織化」:前項(a)の要領で合成した、フッ素非対称膜を水-トルエン界面に展開したところ、その界面張力が35mN/mから約10mN/mまで低下し、最小分子断面積35Å^2/moleculeを与える化合物を得た。フッ素アルキル鎖の断面積が約29Å^2/moleclueであることから、このフッ素膜は油水界面でほぼ凝縮した緻密な配列を取っていると推察した。 (c).「双極子がhead-to-head型に自己配向する液晶」:フッ素長鎖をアゾベンゼン型のメソゲンに導入した化合物を合成し、その液晶性を確認した。この詳細な物性については、次年度に検討する。
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[Publications] 石川雄一ら: "Nitration of N-Confused Porphyin" Chemistry Lettero. 453-454 (1997)
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[Publications] 石川雄一ら: "Asymmetric Energy Exchange Observed in Two-bean Coupling Experiment on Immobilized Eilms or Bilayer Amphiphiles" Chemistry Letters. 1153-1154 (1997)
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[Publications] 佐々木、石川雄一ら: "Second Harmonic Generation of Side Chocin Polyner Liguid Crystals Possessing Asymunetric Carbon without Poling" Molecular Crystalsand Liguiid Crystals. 309. 157-165 (1998)