1997 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉を有する新規ピラゾール誘導体を用いた異種金属間相互作用の解明と不斉触媒反応
Project/Area Number |
09440246
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 芳雄 九州大学, 理学部, 助教授 (00221086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 勗 九州大学, 理学部, 教授 (40037271)
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Keywords | メントン / ジオール / アルドール / Diels-Alder反応 / 溶媒効果 / ピラゾール |
Research Abstract |
本年は、メントンを不斉源として光学活性なジオールやピラゾール誘導体の合成、それらの配位子と各種金属イオンとの錯体化および不斉触媒としての有用性の解明を行った。まず、メントンと各種アルデヒドとのアルドール反応はリチウムジイソプロピルアミドを塩基として用いることにより容易かつ高立体選択的に進行した。得られたアルドール体をシリル化した後ジイソブチルアルミニウムヒドリドで還元すると対応する1,3-ジオールが99%以上のジアステレオ選択性で得られた。このジオールをアルミニウム錯体としてDiels-Alder反応の不斉触媒として用いたところ、ジクロロメタン中、クロトン酸誘導体とシクロペンタジエンとの反応において91:9のエナンチオ選択性が得られた。また、本反応では顕著な溶媒効果も観測された。即ち、テトラヒドロフラン中で同じ反応を行うとエナンチオ面選択性は逆転し、14:86の生成比が得られた。この結果に対してNMRによる錯体の構造解析や配位子と生成物の光学純度の間の関連を調べたところ、THF中ではモノメリックな錯体が活性種であるのに対し、ジクロロメタン中ではオリゴメリックな錯体が生成していることが判明した。この結果は、同一の反応剤を用いても溶媒を変えるだけで両エナンチオマーの作り分けが可能になることを示唆するものとして合成化学的にも重要であるな知見である。一方、先のアルドール体をジョーンズ酸化して1,3-ジケトンとした後ヒドラジンで処理してピラゾール環を構築した。この方法により各種ピラゾール誘導体を合成した。コバルトイオンとの錯体化なども一部成功している。
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