1998 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉を有する新規ピラゾール誘導体を用いた異種金属間相互作用の解明と不斉触媒反応
Project/Area Number |
09440246
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 芳雄 九州大学, 理学部, 助教授 (00221086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 勗 九州大学, 理学部, 教授 (40037271)
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Keywords | メントン / ピラゾール / エポキシ化 / サレンマンガン錯体 / ジアジリジン / シス-アジリジン / 不斉アジリジン化 / 不飽和アミド |
Research Abstract |
前年度の検討により高立体選択的にメントンから合成可能となった光学活性なジオール、ジケトン、ピラゾール誘導体などを用いた不斉触媒反応の検討を行った。ジケトンやそのヒドラジンと反応させて容易に得られるピラゾール誘導体を用いる不斉反応として、ヒドロシアノ化などを検討した。当量反応で最高40%ee程度の不斉収率は観測されるものの、満足できる結果ではなかった。一方、既に著者らはアキラルなサレンマンガン錯体を用いる不斉エポキシ化において光学活性なピラゾール誘導体の添加が錯体の立体配座を制御して不斉誘起を生じることを報告しているが、今回この概念をさらに発展させてカルボキシル基を組み込んだ錯体を合成し、効率良いクロメン誘導体の不斉エポキシ化を見出した。この反応では100%の収率と98%の不斉収率を達成した。さらに一方では、ユニークなアジリジン化反応も開発した。即ち、三員環状に二つの窒素原子を有するジアジリジン誘導体を窒素源として用いて、α,β-不飽和アミドのアジリジン化を検討したところ、熱力学的に不安定なシス-アジリジンが高選択的に80%程度の収率で得られることが判明した(論文未発表)。基質としてシス-またはトランス-オレフィンの何れを用いても同一のシス-アジリジンが生じており、従来にない立体選択性を達成したものとして大変興味深い。さらに、光学活性なジアジリジンを用いて不斉反応への展開を検討したところ、収率は未だ低いものの(4%)、99%ee以上の完ぺきな不斉収率を達成することができた。
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