2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440248
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Research Institution | National Science Museum |
Principal Investigator |
若林 文高 国立科学博物館, 理工学研究部, 主任研究官 (30158589)
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Keywords | ゼオライト / フェリエライト / 酸点 / 赤外分光法 / 触媒作用 / 反応機構 / オレフィン |
Research Abstract |
ゼオライト触媒による炭素-炭素結合の生成過程およびそれに対するゼオライトの酸性水酸基の役割に関する知見を得る目的で、酸型ゼオライトと炭化水素との相互作用を主に透過赤外分光法を用いて検討した。 具体的には、ゼオライトの中でも細孔径が小さく気体分子に新たな反応場を提供すると考えられるフェリエライトへのオレフィン類の吸着および反応について調べた。 フェリエライトとブテンとの相互作用では、1-ブテンでは二重結合の移動反応が、2-ブテンではシスートランス転位反応が低温でも進行することが観測された。低温領域でのこれらの反応は、ブテンが主に酸性水酸基に吸着しているにも関わらず、従来から提唱されているような酸性水酸基からのプロトン移動により進行するものでなく、別の反応機構で進行することが示唆された。 また、炭素数4以下のオレフィン(エテン、プロペン、ブテン)の低温におけるフェリエライトへの吸着挙動の違いを検討した。分子径の小さいエテン、プロペンは低温でも速やかに細孔内の酸性水酸基に吸着するが、分子径の大きなブテンでは、まず外表面のシラノール基に吸着し、昇温することにより細孔内の酸性水酸基上へと移動することがわかった。これは、ブテンの細孔内への移動には障壁があることを示している。また、この移動のしやすさは、トランス-2-ブテン、1-ブテン、シス-2-ブテンの順であり、同じブテンでも分子径の効果が大きいことがわかった。 また、ゼオライト外表面のシラノール基の酸性質に関して検討した。従来、ゼオライトの外表面シラノール基は中性ないし酸性が非常に弱いとされてきたが、低温でもオレフィン分子へのプロトン供与性があり、酸性質を有することがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Ishikawa et al.: "Stable dimerized alkoxy species of 2-methylpropene on mordenite zeolite studied by FT-IR."Journal of Physical Chemistry B. 103・27. 5681-5686 (1999)
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[Publications] J.N.Kondo et al.: "Structure of dimerized alkoxy species of 2-methylpropene on zeolites and silica-alumina studied by FT-IR."Journal of Physical Chemistry B. 130・40. 8538-8543 (1999)
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[Publications] E.Yoda et al.: "Shape selective adsorption of olefins on Bronsted acidic OH (OD) groups on ferrierite studied by FT-IR."Applied Catalysis A. 194-195・1-2. 275-283 (2000)
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[Publications] J.N.Kondo et al.: "Acid property of silanol groups on zeolites assessed by reaction probe IR study."Journal of Catalysis. 191・2. 275-281 (2000)
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[Publications] J.N.Kondo et al.: "Unusual isomerization routes of n-butenes on the acidic OH (OD) groups on ferrierite zeolite studied by FT-IR."Studies in Surface Science and Catalysis. 130・C. 2933-2938 (2000)
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[Publications] J.N.Kondo et al.: "Migration of butene isomers onto the acidic OH groups in small micropores of ferrierite."Catalysis Today. 63・2-4. 305-308 (2000)