1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 敏行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10012519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 さらみ 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20282725)
高橋 陽介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90183855)
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Keywords | オーキシン / サイトカイニン / DNA合成 / プロトプラスト / 細胞分裂 / 信号伝達 / 馴化細胞 |
Research Abstract |
今年度は、次の新しい発見があり、表記の課題に新しい意味付けを与えることが出来た。 まず、その一は、タバコBY-2細胞の増殖に関するオーキシンの役割に関わる点である。BY-2細胞はオーキシン飢餓状態では細胞分裂を完全に停止するが、オーキシンを再度加えると、DNA合成の後、半同調的な細胞分裂が誘導できることは既に確立されている。ところが、BY-2細胞由来のいわゆる馴化細胞2B-13は、オーキシンなしでも盛んに増殖する。この細胞の濾液をオーキシン飢餓のBY-2細胞に加えたところ細胞分裂の誘導を見ることができた。しかも、この効果は2B-13細胞の合成する植物ホルモン量に依るものではないことも示された。また、この因子は種々の処理によってタンパク質性であることも示された。そこで、この細胞分裂を誘導する活性を分画したところ、複数のゲルクロマトグラフィーによって、分子サイズが4kD程度の高分子であった。現在、なおこの分子の同定は完了していないが、オーキシンの下流にあって細胞分裂誘導活性を持つ、新奇物質であることが明確になり、新発見であると判断している。 一方、タバコ葉肉プロトプラストは、オーキシンとサイトカイニンの共存で、細胞分裂誘導に至るが、このうちサイトカイコンの効果に関して、まず最初細胞周期を、G_1期-S期へともたらすのは、サイトカイニンであり、その後オーキシンの効果により細胞周期は先へ進行することが初めて明らかとなった。従って、これまでオーキシンが主であり、サイトカイニンが従であるという考えは根本的修正を要し、従って、オーキシンの信号伝達の経路にも新しい見解が必要となった。すなわち、オーキシン制御遺伝子は、サイトカイニンの効果を増幅するものであり、昨年同定されたサイトカイニン制御遺伝子は、更にその後に発現するものであることが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sano, T. et al.: "Phosphate as a limiting actor for the cell drvision of tobacco BY-2 cells"Plant Cell Physiol.. 40. 1-8 (1999)
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[Publications] Kumagai, F. et al.: "Putative involvement of a 49 kDa protein in microtubule assembly in vitro"Euro. J. Cell Biol.. 78. 109-116 (1999)
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[Publications] Nagata, T. & Kumagai, F.: "Plant cell biology through the window of the highly synchronized tobacco BY-2 cell line"Methods Cell Science. 21. 123-127 (1999)
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[Publications] Kitamiya, et al.: "Isolation of two genes that were induced upon the initiation of somatic embryogenesis on carrot hypocotyls by high concentration of 2,4-D"Plant Cell Reports. (in press).
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[Publications] Nagata, T. et al.: "Plant Biotechnology and in vitro Biology in the 21^<st> Century"Kluwer Acad. Publishers. 429-432 (1999)