1997 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤによる金属イオンの高選択的濃縮機構の生理化学的解析
Project/Area Number |
09440278
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
道端 齊 広島大学, 理学部, 教授 (00111740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 龍也 広島大学, 理学部, 助手 (10274705)
宇山 太郎 広島大学, 理学部, 講師 (60232914)
金森 寛 富山大学, 理学部, 教授 (00019001)
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Keywords | ホヤ / バナジウム / 濃縮機構 / 還元機構 / ペントースリン酸回路 |
Research Abstract |
ホヤは高濃度かつ高選択的にバナジウムを濃縮している。その濃度は海水のバナジウム濃度の1,000万倍に相当する350mM濃度に達し、濃縮されたバナジウムは生体には稀な三価に還元されている。 これまでに、バナジウムの濃縮機構に直接関与すると思われるバナジウム結合タンパク質(VAP)のうち12.5kDaと15kDaのcDNAの全長を明らかにした。12.5kDaのcDNAの全長は642bpで、その内オープンリーディングフレームは360bpで、120アミノ酸残基をコードしていた。15kDaのcDNAの全長は570bpで、その内オープンリーディングフレームは360bpで、120アミノ酸残基をコードしていた。これらの塩基配列とアミノ酸配列に対して、ホモロジー検索を行ったが、どのレベルでも相同性の高いタンパク質は見つからず、システイン含有量の高い新規のタンパク質であった。 また、5価のバナジウムを4価に還元するNADPHを生成するペントースリン酸回路の酵素群がバナジウム濃縮細胞(バナドサイト)に局在していることを見いだした。それらの中で6-PGDHについてはcDNAの全長を明らかにし、免疫染色等でバナドサイトに局在すること、その酵素活性があることを明らかにした他、G6PDHの存在も見いだした。 さらに、NADPHによるバナジウムの還元カスケードがバナドサイト内で働いていることを明らかにするため、細胞内NADPHの含有量の測定を試み、約1ng/μgタンパク質のNADPHが含まれていることを見いだした。今後、細胞内に含まれるNADPHによってバナジウムが還元されることを明らかにしたい。
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[Publications] Uyama,T.: "6-Phosphogluconate dehydrogenase is a 45 kDa-antigen recognized by a monoclonal antibody S4D5 specific to vanadocytes in the vanadium-rich ascidian,Ascidia sydneiensis samea." The Journal of Biochemistry. (in press). (1998)
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[Publications] Uyama,T.: "Glucose-6-phosphate dehydrogenase in the pentose phosphate pathway is localized in vanadocytes of vanadium-rich ascidian,Ascidia sydneiensis samea." Zoological Science. (in press). (1998)
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[Publications] Michibata,H.: "Selective accumulation of vanadium by ascidians from sea water.In"Vanadium in the Environment.Part 1 : Chemistry and Biochemistry"" Edited by Nriagu JO,John Wiley & Sons,Inc. (in press), (1997)
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[Publications] Michibata,H.: "The accumulation mechanism of vanadium by ascidians.In "Proc.Symp.Chemistry,Biochemistry and Therapeutic Applications of Vanadium Compounds." Edited by Tracey,A.and Crans,D.C.,Am.Chem.Soc.(in press), (1997)