1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440279
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20143357)
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Keywords | 転写因子 / 遺伝子発現 / POU / アミノ酸リピート / 哺乳動物 / GC圧 / 中枢神経系 / 転写仲介因子 |
Research Abstract |
研究代表者・植田は最近,GC配列に富んだトリプレットによってコードされる単一アミノ酸反復配列構造は哺乳動物の転写因子に特徴的な構造であることを発見し,「GC圧の変化によって哺乳動物の多数の転写因子に生じた単一アミノ酸反復配列構造が哺乳動物を特徴づける種々の形質の遺伝的・分子的基盤となっている」との仮説を提起した。 本研究は当仮説の実験的検証であり,本年度は,前年度までに遺伝子構造を明らかにした単一アミノ酸反復配列からなる哺乳動物のclassIIIPOU遺伝子の転写活性化ドメインとクロストークする転写仲介因子をもちいて,両因子間のクロストークに関する単一アミノ酸反復配列の影響を定量した。すなわち,in vitro mutagenisisにより転写活性化ドメイン内のプロリン・リピートのみを欠失させた哺乳動物のclassIIIPOU brain-1遺伝子を作成し,yeast two hybrid systemをもちいてクローニングしてきた転写仲介因子との蛋白質間相互作用を定量した。その結果,プロリン・リピートのみの欠失で蛋白質間相互作用はほぼ完全に失われた。そこで,野生型遺伝子でもこのプロリン・リピートをもたない両生類のorthologous geneをもちいて転写仲介因子との蛋白質間相互作用を定量したところ,期待通り相互作用は観察されなかった。また,単一アミノ酸反復配列をもたない転写因子の転写活性化ドメイン内に人為的に単一アミノ酸反復配列を導入し,単ーアミノ酸反復配列が転写活性化能に与える定量的影響を測定したところ,2〜3倍の転写活性の変動が観察された。以上の結果から,脊椎動物の進化過程における単一アミノ酸反復配列構造の付加によって哺乳動物の遺伝子発現調節機構に機能上の大きな変化か生じていることが明らかとなった。
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