1998 Fiscal Year Annual Research Report
維管束植物の生殖器官の形態進化を形態形成遺伝子の進化として解明する
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09440281
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
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Keywords | 進化 / 形態形成 / MADS / シダ / 裸子植物 / 花 |
Research Abstract |
(1) 昨年度、生殖器管特異的発現の見られたコバノグネツムMADS遺伝子GPMADS1.3、4の発現様式をin situハイブリダイゼーションにより解析した。全ての遺伝子は胚珠原基と、3枚のenvelopeそれぞれの原基で発現しており、envelopeの成長に従い、発現が減少することがわかった。GPMADS3遺伝子の相同遺伝子がラディアータマツで研究されており、種鱗と胚珠で発現していることが知られている。GPMADS3遺伝子の発現との比較から、従来、他の裸子植物の生殖器官との対応付けが困難であった、グネツム類の胚珠(珠心と3枚のenvelope)は、針葉樹類の種鱗-胚珠複合体と相同である可能性が高いことが判明した。 (2) コバノグネツムLFY遺伝子GPLFYを単離し、他の陸上植物LFY遺伝子と共に遺伝子系統樹を作成した。その結果、GPLFYは被子植物LFYとは異なったグループに属することがわかった。しかし、アミノ酸配列はLFY遺伝子に良く類似していた。GPLFYはGPMADS3と同じ領域で発現しており、被子植物におけるのと同じように、コバノグネツムでもLFYによってMADS遺伝子が誘導されている可能性がある。さらに、GPLFY遺伝子をシロイヌナズナで過剰発現させると、LFYを過剰発現させたときと同じ表現型を示したことから、GPLFYはLFYと良く類似した機能を持っていることがわかった。従って、LFY遺伝子は花の進化にはそれほど重要でなかったのではないかと推測している。 (3) コバノグネツムおよびイチョウにおけるMADS遺伝子の解析から、裸子植物にも被子植物が持つほとんどのグループのMADS遺伝子が存在していることがわかった。しかし、裸子植物からはAP1遺伝子が単離されていないことから、この遺伝子グループの欠失が裸子植物が花を形成しない理由ではないかと推察した。
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[Publications] Hasebe,M.et al.: "Characterization of MADS humeotic genes in the ferm Ceratopteris richardii" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 6222-6227 (1998)
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[Publications] Hasebe,M.et al.: "Intrageneric relationships of maple trees based on the chloroplast DNA restriction length polymoyphisms" J.Plant Res.111. 441-451 (1998)
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[Publications] Wolf,P.G.et al.: "Phylogenetic studies of extant pteridophytes・In D.Soltis et al.eds.Mdecular Systematics of Plants(2nd)" Chapman and Hall, 541-556 (1998)