1997 Fiscal Year Annual Research Report
有機/金属界面のナノレベル構造制御と光電流増倍デバイス
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09450012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平本 昌宏 大阪大学, 工学部, 助教授 (20208854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 正明 大阪大学, 工学部, 教授 (90029281)
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Keywords | 光電流増倍現象 / 有機 / 金属界面 / 増幅型光センサー / 構造トラップ / ナノレベル構造制御 / 原子間力顕微鏡 / トンネリング / 金超微粒子 |
Research Abstract |
本研究は、申請者が発見した、光電導性有機顔料薄膜における、10万倍を越える光電流増倍現象の機構の詳細な解明を行い、実用可能な増幅型光センシングデバイスへの応用可能性を実証する目的で行ったものである。申請者はすでに、金属/有機薄膜界面に存在する分子サイズの行き止まり構造(構造トラップ)への光生成ホールの蓄積によって、界面に電界が集中し、電極からの電子のトンネル注入が誘起されるという増倍メカニズムを提出している。 本研究では、まず、光電流増倍現象がすでに観測されている有機顔料薄膜と金属との界面の形成過程を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて分子レベルで観測する方法を確立した。有機顔料薄膜上に金を抵抗加熱蒸着すると、表面が粒径20nm程度の金超微粒子で一面に覆われることが明らかになった。微粒子が球であると仮定すると、金と顔料薄膜は不完全な接合を形成し、直接接触しているところと空間的に離れているところがあると考えられる。両者が密着していない部分に空間的な行き止まり(構造トラップ)が存在し、光生成ホールが蓄積することによって増倍が引き起こされると考えられる。電子ビーム蒸着による粒径10nm程度のより小さな金超微粒子の場合、構造トラップ形成可能な場所の減少によって増倍が抑制され、増倍挙動を意図的に制御できることが示された。 次に、あらかじめホールをトラップさせた有機顔料薄膜表面の表面電位をAFMプローブを用いて観測する方法を確立した。その結果、増倍を起こすトラップサイトの分布と顔料分子の表面配列構造との関係を示唆する結果が得られた。以上の結果は、有機/金属界面構造の制御、すなわち、有機分子の表面配列と金属の極微細構造の双方のエピタキシャル技術等による制御が実現できれば、望みの増倍率、応答速度等の増倍特性が得られることを意味しており、増幅型光センサー実現への大きな成果と考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Hiramoto: "Photocurreut Multiplication Phenomenon at Organic/Organic Heterojunction and Application to Optical Computing Device Combining with Organic Electroluminescence" Synthetic Metals. 91. 77-79 (1997)
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[Publications] M.Hiramoto: "Photocurrent Multiplication Phenomenon at Organic/Organic Heterojunction" Proceedings of IS&T's NIP13. 248-251 (1997)
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[Publications] M.Hiramoto: "Photocurrent Multiplication Phenomenon at Organic/Metal and Organic/Organic Interfaces" Thin Solid Films. (in press). (1998)