1997 Fiscal Year Annual Research Report
極低エネルギー電子による水素終端シリコン基板の表面修飾
Project/Area Number |
09450017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾浦 憲冶郎 大阪大学, 工学部, 教授 (60029288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿森 道夫 大阪大学, 工学部, 助手 (80222412)
片山 光浩 大阪大学, 工学部, 講師 (70185817)
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Keywords | 電子刺激脱離 / 極低エネルギー電子 / 表面水素 / 脱離断面積 / 水素終端 / イオンビーム |
Research Abstract |
水素終端のシリコン基板からの水素の電子刺激脱離(ESD)現象は、電子ビームパタ-ニングによる基板の表面修飾と関連して、幅広い応用が期待されている。水素終端基板の電子ビームパタ-ニングにおいては、通常、20〜50keVの高エネルギーの電子が用いられているが、熱効果による水素の脱離を最小限に抑え、ESDのみによる終端水素の局所的除去を実現するためには、数eV〜数10eV程度の極低エネルギーの電子を採用することが必要である。このためには、まず、極低エネルギーの電子照射における脱離断面積・しきい値エネルギーなど、ESDのメカニズムの基礎的な解明が必要である。本研究では、極低エネルギー電子による水素終端Si基板の表面修飾素過程を原子レベルのミクロな尺度で解明することを目的とした。 本年度では、現有の装置に、低エネルギー電子銃を導入し、極低エネルギー電子による水素終端Si基板の表面修飾素過程を基礎的に解明した。水素終端したSi(100)表面からのESDによる水素の脱離過程を飛行時間型低エネルギーイオン反跳分光法(TOF-ERDA)を用いてその場観察し、水素の脱離断面積の絶対量を定量することによって、極低エネルギー領域における脱離断面積の電子エネルギー依存性を得た。その結果、(1)しきい値エネルギーが約23eVであること、(2)水素の脱離機構がオージェ遷移によるものであることなど、ESDのメカニズムに関して興味深い知見が得られた。
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[Publications] K.Oura 他4名: "Adsorption of atomic hydrogen on the Si (100)-2x1-Sb surface" Jpn.J.Appl.Phys.36. 4435-4439 (1997)
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[Publications] K.Oura 他4名: "Qasi-medium energy ion scattering spectroscopy study of Ge 8-layer on Si (001)" Appl.Surf.Sci.R1/R2. 218-222 (1997)
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[Publications] M.Katayama 他3名: "Atomic-hydrogen-induced structural change of the Si (100)-(2x1)-Sb surface observed by TOF-ICISS" Appl.Surf.Sci.121/122. 223-227 (1997)
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[Publications] K.Oura 他8名: "Structural model for the Si (111)-4x1-In reconstruction" Phys.Rev.B56. 1017-1020 (1997)
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[Publications] M.Watamori 他4名: "Reconstruction and growth of Ag on hydrogen-terminated Si (111) surfaces" Appl.Surf.Sci.113/114. 448-452 (1997)