1997 Fiscal Year Annual Research Report
光制御・検出による局所分子配向緩和スペクトロスコピー
Project/Area Number |
09450035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直人 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10282592)
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Keywords | 分子配向 / スペクトロスコピー / 配向緩和 / 複屈折 / 光カー効果 / 液晶 / 臨界現象 / 相転移 |
Research Abstract |
温度や圧力、電場・磁場などの外部環境に応じて様々な相転移や構造変化を示す高分子混合系や液晶・ゲルなどいわゆる複雑流体は、大きな内部自由度を有しているため、新しい機能性材料としての可能性を秘めている。これらの内部自由度のなかでも、その影響がマクロなスケールの物性変化として端的に現れるのは、分子配向である。分子の配向回転は分子単独で行いうる運動ではなく、分子形状による異方的排除体積効果や電磁的相互作用を通して長距離にわたる相関を持つ運動である。本研究では、分子の配向状態を局所的に観察するための手法として、全く新しいスペクトロスコピー技術「局所分子配向緩和スペクトロスコピー法」を提案した。今年度はまず、異方形状分子からなる液体について、アルゴンイオンレーザーをポンプ光として用いることにより、分子配向制御を試みた。一般に分子が異方形状を有する場合、分子分極率も異方的なものとなる。光の周波数は10^<15>Hzと非常に高いので、分子配向が光電場に追随することはないが、光電場の2乗と分子分極率の積に比例する誘電エネルギーのために分子分極は光電場の方向を向く。よって、異方形状分子からなる液体に直線偏光の光を入射することにより、もともとはランダムに配向していた分子の向きをそろえることが可能となる。こうしてもたらされた分子配向秩序の程度を、He-Neレーザーを用いた複屈折計測によって定量的に評価した。その結果、分子配向に伴う光カー効果を確認した。また、シアノビフェニル系の液晶性分子を資料とした場合には、等方相-液晶相転移温度近傍においてカ-定数が発散する臨界現象を観察した。さらに、ポンプレーザー光をポッケルスセルによって高速変調し、その周期を掃引することにより分子配向緩和の様子を周波数領域において捉える実験に着手した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Tanaka, K.Hattori, K.Sakai and K.Takagi: "Brillouin Scattering Measurement of Optothermally Excited Phonon" Japanese Journal of Applied Physics. Vol.36,No.10B. L1415-L1418