1997 Fiscal Year Annual Research Report
ナノフラクトグラフィによる先進セラミックスの実働環境下の疲労き裂進展機構の解明
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09450051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅田 淳 大阪大学, 工学部, 助教授 (60162913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植松 美彦 大阪大学, 工学部, 助手 (80273580)
城野 政弘 大阪大学, 工学部, 教授 (20029094)
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Keywords | 疲労強度 / 疲労き裂進展 / セラミックス / き裂開閉口挙動 / 微小き裂 / 実働荷重 / 有効応力拡大係数 / き裂発生 |
Research Abstract |
先進セラミックス材料として窒化ケイ素および窒化ホウ素/窒化ケイ素複合セラミックスBN/Si_3N_4材を用いて一定振幅荷重ならびに過大荷重、2段繰返し変動荷重試験を行い徐荷弾性コンプライアンス法によりき裂開閉口挙動を調べた。さらに、高分解能の顕微鏡により破面情報を得ることによりセラミックス材料の繰返し荷重下の疲労き裂進展機構の解明を目指した。得られた主な結果は以下の通りである。 1 き裂ウェイク部には結晶粒子によるインターロッキングの形成が観察された。このインターロッキング部は、荷重を分担するため応力遮へい効果が生じていることが確認された。また、疲労および静的破壊ともに粒界破壊が支配的であり、疲労破面ではき裂上下面の破面間のすり合わせによって、インターロッキング部が摩耗した様相が観察された。 2 Si_3N_4およびBN/Si_3N_4の一定振幅荷重下におけるき裂進展速度は、応力比が小さくなるにつれて加速することがわかった。これは応力比が小さい、すなわち荷重振幅が大きいほど荷重繰返しによるインターロッキング部の摩耗、破砕がより顕著となり、応力遮へい効果が減少したためである。 3 過大荷重が負荷されることによって、その後のき裂進展速度は加速しき裂が数十μm進展すると一定振幅荷重下の進展速度に回復することがわかった。進展速度の加速現象は、過大荷重負荷によりそれ以前に形成されていたインターロッキング部の破砕が促進され、応力遮へい効果が小さくなるためであり、進展速度が回復するのは、き裂進展により新たなインターロッキングが形成されるためである。 4 2段繰返し変動荷重下のき裂進展速度は、一定振幅荷重下の進展速度に比べ加速することがわかった。また、高レベル荷重が大きくなるほど加速は顕著になる。この進展速度の加速現象は、過大荷重負荷後と同様に、高レベル荷重負荷によってインターロッキング部の破砕が促進されるためである。
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