1999 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の推進機構と流れに関するマイクロ流体工学的研究
Project/Area Number |
09450077
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高野 泰斉 鳥取大学, 工学部, 教授 (00089111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 知伸 鳥取大学, 工学部, 講師 (00260654)
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Keywords | 細菌べん毛 / ビブリオ菌 / サルモネラ菌 / 暗視野顕微鏡 / マイクロ流体工学 |
Research Abstract |
暗視野生物顕微鏡CCDカメラシステムによって,単毛性細菌のビブリオ菌を個別に追跡しながらビデオ録画し,細菌の形状および細菌の回転速度と移動速度を同時に計測した.その結果,かなりの速度範囲において,べん毛の回転速度と移動速度の間に線形関係が成り立つことが実験的に求められた.また,境界要素法を適用し,計測されたビブリオ菌をモデル化した形状に対し,線形であるストークス流に基づく数値解析を行い,べん毛の回転速度と移動速度の関係を求め,ビブリオ菌に対する観察結果と数値解析の結果を比較した.両者はよく一致したので,ビブリオ菌の場合は,ストークス流のモデルが成り立つことが分かった. 複数のべん毛を有する周毛性細菌のサルモネラ菌に対しても,別個に追跡しながら同様の計測を行った.サルモネラ菌の場合には,ビブリオ菌とは異なり,べん毛の回転速度と移動速度の間には線形の関係は成り立たないことが観察結果から示された.また,回転速度によってべん毛の傾き角が変化することが分かった. ビブリオ菌は,推進する場合にはべん毛を束ねて回転させると考えており,べん毛の束を1本の太いべん毛で近似し,同様の境界要素法による解析を行った.しかし,ビブリオ菌の場合の様に観察結果と数値解析の間によい一致は得られなかった.さらに,回転速度によってべん毛の傾き角が変化することを考慮した境界要素法による数値解析も行ったが,サルモネラ菌に対する観察結果から得られた関係を説明できなかった. 今回の研究によって,ビブリオ菌のような単毛性細菌に対しては,ストークス流に基づくモデルが適用できるが,サルモレラ菌のような周毛性細菌に対しては,モデルが確立しておらず,これは今後解決したい問題である.
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[Publications] Goto,T.,Inaoka,R.,Takano,Y.: "Aboundary element Analysis of Swimming Bacteria with Several Flagella"Proc.1999 Bioengineering Conference,ASME. BED-Vol.42. 547-548 (1999)
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[Publications] Goto,T.,Masuda,S.,Terada,K.,Takano,Y.: "Becterium Locomotion with a Flagellum-One of the Timiest turbomachines"Proc.8th Int Symp.on Transport Phenomena and Dynamics of Rotating Machinery,Hawaii. (2000)