1997 Fiscal Year Annual Research Report
飛行時間型質量分析装置を用いた原子クラスターの光解離分光
Project/Area Number |
09450085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90209700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 洋一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60111473)
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Keywords | 質量分析 / 原子クラスター / 光解離 / 飛行時間型 |
Research Abstract |
レーザー蒸発超音速膨張クラスター生成装置を用いてシリコンのクラスターを生成し,レフレクトロン型TOF質量分析装置を改良して生成されたクラスターの質量分布測定とクラスターのサイズ(原子数)ごとの分離,レーザー解離を可能とした.具体的には,個体シリコン材料にNd:YAGレーザーの2倍高調波(532nm)を集光することにより材料を蒸発させ,ほぼ同時に短パルスのヘリウムガスを入射することによってクラスタービームを作る.このクラスタービームをArFエキシマレーザーによって光イオン化し,レフレクトロン質量分析装置に導入する.クラスターイオンビームの飛行経路中(レフレクトロン以前)に高電圧高速パルス電極を設けて一定時間のみ電圧を下げることによって,一定サイズのクラスターのみの選択が可能となった.さらに,サイズ一定のクラスターSi_2〜Si_<11>に対して,それぞれNd:YAGレーザーの3倍高調波(355nm)を集光することにより,クラスターの光解離実験を行った.一定の並進運動エネルギーを持つ親クラスターが解離した娘クラスターが持つ並進運動エネルギーは,その質量数に比例することからレフレクトロンでの軌道が質量数に応じて変化し,イオン検出器に到着する時間が質量数による.実際の到着時間はほぼ軌道計算と一致し,到着時間より容易に解離しなかった親クラスターの割合と娘クラスターイオンの質量数分布の測定ができた.結果として,Si_<10>^+→Si_6^++Si_4やSi_<11>^+→Si_7^++Si_4などの得意な選択的解離パターンが観測された.これらの結果の一部は,分子軌道法によるシリコンクラスターの結合エネルギーの予測値と比較することで説明されるが,非平衡な解離過程を含めて考察をしないと説明の困難な部分もあった.
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