1997 Fiscal Year Annual Research Report
実在表面間の熱とふく射の輸送現象に関するミクロ・マクロ伝熱
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09450091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 俊郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (30111941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 英信 京都大学, 工学研究科, 助手 (00273467)
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Keywords | ふく射物性 / 熱伝導 / 接触熱抵抗 / 実在表面 / 表面診断 / 超音波診断 / 分子動力学 / 塑性変形 |
Research Abstract |
熱工学の分野で研究が著しく遅れている伝熱の現象が2種ある.その一つは固体表面間の接触熱抵抗であり,他の一つは固体表面間のふく射輸送である.この2種の現象は,いずれも理想的でない多様な固体表面-実在表面-に関係するものである.本研究は,この実在表面の特殊性に注目して,音・熱・光に関する実験研究,理論・モデリング研究を行うものである. 平成9年度には,まず,金属の清浄で平滑な表面が実環境下で酸化されたあらい実在表面に変化する過程で,その熱ふく射性質がどのように変化するのかを,高速スペクトル測定法によって調べ,また,その成果を表面の温度やミクロ構造のインプロセス診断に生かすことを検討した. その研究に平行して,接触熱抵抗の系統的な研究の可能性を2種の立場から模索した.その一つは,固体表面間の接触面への(1)加圧,(2)加圧下での接触状態,(3)そこを通過する熱流の間の関係を実験的に捉えることである.すなわち,操作パラメータである(1)と結果として起こる現象(3)との間にある因子(2)に注目することが重要であると考え,接触面の状態を(2')超音波の反射測定を通じて診断することを提案し,(1),(2'),(3)の相関を調べる実験研究を行っている.現在の段階で,この三者には単調な関係があることが見いだされている. 接触熱抵抗に関する第2の研究は,接触面上の接触点を原子の柱体としてモデル化する分子動力学の研究である.この研究では,非等方的な圧力の印加を受けた有限サイズの結晶がどのように弾性/塑性変形し,その不完全な結晶中を熱/原子振動がどのように伝ぱするのかを調べている.結晶のサイズ,非等方的な変形,すべり面の存在などが完全なバルク結晶には見られない熱伝導現象を生むことを明らかにしつつある.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 若林英信: "接触熱抵抗の分子動力学モデリング(力学的変形と熱伝導)" 日本熱物性シンポジウム講演論文集. 第18回. 186-188 (1997)
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[Publications] 牧野俊郎: "高速スペクトル法による金属表面の温度・性状のインプロセス計測のアルゴリズム" 日本熱物性シンポジウム講演論文集. 第18回. 313-316 (1997)
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[Publications] Wakabayashi,H.: "Molecular Dynamics Modelling of Thermal Contact Resistance of Solid Surfaces - Mechanical Deformation and Thermal Conduction -" Proc.Transport Phenom.Therm.Sci.Process Engng.vol.1. 121-125 (1997)
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[Publications] Makino,T.: "Thermal Radiation Characteristics of Real Surfaces of Solid Materials in Natural/Industrial Environments" High Temperatures-High Pressures. vol.26. 581-590 (1997)
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[Publications] 牧野俊郎: "高速スペクトル法の開発-金属表面の温度・性状診断への応用-" 日本伝熱シンポジウム講演論文集. 第35回(掲載予定). (1998)
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[Publications] 若林英信: "接触熱抵抗の分子動力学モデリング(接触点の力学的変形と熱伝導)" 日本伝熱シンポジウム講演論文集. 第35回(掲載予定). (1998)