1997 Fiscal Year Annual Research Report
上層雷放電と電磁放射及び電力伝送への影響に関する研究
Project/Area Number |
09450110
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
早川 正士 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80023688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 健次 中央大学, 工学部, 教授 (10131161)
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Keywords | 上層放電 / トリンピ現象 / スプライト / ELF波 / 伝送線路 |
Research Abstract |
従来の雷雲から大地への落雷と異なり、雷雲から上層(電離層)に向かう放電が近年大きな話題となっている。この上層放電は正電荷の地表への放電に伴って発生することがわかって来ているが、発光現象の機構、上層放電に伴う電波放射など総合的な研究は今後の研究に待たれる。又、この上層放電の電力伝送への影響も未解明である。研究目的として以下のものを挙げることが出来る。(1)日本の当期雷と上層放電及びELF放射の解明、(2)上層放電機構の解明とELF/VLF電磁放射や電離層擾乱の研究、(3)上層雷放電の電力伝送への影響の検討。本年の実績を列記しよう。 (1)日本北陸地方の冬期雷の光学観測、ELF/VLF空電観測、上層放電により電離柱の生成検出のためのVLF送信局電波観測 北陸地方において冬期雷の高感度・高速度光学観測により正電荷放電に伴う上層雷放電による発光現象の観測を目指す。その為の光学システム(雷放電光撮影用VTR部、雷トリガ制御装置、時刻校正部から成る)を開発し、愛知県田原町の蔵王山山頂に光学観測システムを設置した。平成10年2月、3月においてその連続観測を継続しており、そのデータ解析が待たれる。また、上層雷放電が起こっているとすれば、その帰結として高度40kmから電離層(100km)までにかけて幅1km前後の電離柱が発生することが予想される。これをオーストラリアNWC局の電離層・大地導波管伝搬での伝搬異常(トリンピ現象という)観測を春日井にて同時に行っている。即ち、VLF電離層・大地導波管伝搬波が電離柱によって散乱され、受信VLF波の振幅・位相に異常として現れ、これを検出するものである。また、上層放電によるELF空電を北海道母子里観測所にて行っている。この観測では電磁界3成分(水平電磁界成分と垂直電界)による方位測定によりその発生位置を同定する。 (2)オーストラリアの上層放電と日本でのELF/VLF空電との相関研究 1996年11月にはオーストラリアのダ-ウィン近辺において光学観測により米国以外でははじめてRed spritesが観測された。このスプライトから真にELF波(Qバースト)が放射されているか否かを確かめるため、北海道母子里でのELF波の解析を行った。25例のスプライトのうち22例の正極性放電に対してはELF波(Qバースト)が伴い、方探よりその発生場所はダ-ウィン近傍であることは明らかになった。スプライトとの相関を多くイベントに対してはじめて認める事が出来た。 (3)雷放電の電力伝送線への結合に関する研究 雷放電(負極性及び正極性落雷)による伝送線へのサージ(誘導)に関する理論的考察を行った。特に、不均質伝送線路に対しての解析を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Omid, Y.Kami, M.Hayakawa: "Analysis of field conpling to nonuniform transmission lines" 電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌). Vol.117-A. 484-489 (1997)
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[Publications] M.Omid, Y.Kami, M.Hayakawa: "Cross-talk analysis of high-speed logic circuits" 電子情報通信学会論文誌. Vol.E80-B. 678-685 (1997)
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[Publications] M.Omid, Y.Kami, M.Hayakawa: "Field Conpling to Nonuniform and Uniforn Transmission lines" IEEE Trans.EMC. Vol.39. 201-211 (1997)