1997 Fiscal Year Annual Research Report
界面電荷ダイナミックスに着目した電力機器の絶縁性能向上への基礎的検討
Project/Area Number |
09450112
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴置 保雄 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (10115587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 一重 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70135309)
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Keywords | 電力ケーブル / 空間電荷 / パケット / 酸化防止剤 / 絶縁劣化 / 絶縁破壊 / 劣化 |
Research Abstract |
本研究では、主に代表的絶縁系構成材料である電力ケーブル用ポリエチレンと半導電層の界面やケーブルのプレハブジョイント部の界面に着目し、界面での電荷ダイナミックスの解析を通して、電力機器における複合絶縁系の性能向上への指針を得ることを目的としている。このため、本年度は半導電層-絶縁体の界面における空間電荷の挙動と絶縁体-絶縁体界面における劣化現象について観測した。その結果、以下の様な結果を得た。 ・半導電層-絶縁体界面に関して: (1)電極面積等を工夫することにより、従来から利用していたレーザ誘起圧力パルス法による空間電荷計測法の分解能を2倍程度向上させることができた。 (2)直流電力ケーブル用絶縁材料である変性高密度ポリエチレンにおいて、多くの場合、界面付近の空間電荷は電荷注入により形成される。 (3)半導電層を融着する際に不純物の拡散が起こり、これがイオン性の空間電荷の起源となり、空間電荷ダイナミックスに影響を与える。 ・絶縁体-絶縁体界面に関して: (1)複合絶縁界面特性を検討するための試験電極を提案し、それを用いた基礎データの集積を行った。 (2)絶縁体バルクに対し界面が弱点となりやすいことが明らかになった。 (3)複合界面でトリ-劣化が進行するときには、必ずしも破壊強度の低い材料の方が劣化するのではないことが明らかになった。この点に関し、種々のモデル的な電極系を作製して検討した結果、試料の誘電率の差に起因する分極電荷の寄与があることが示唆された。 これらの結果を基にして次年度以降における界面電荷ダイナミックスの解明が期待される。
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