1997 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート構造の応力損傷場と物質移動の相互連成に関する研究
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09450173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHAUBE Rajes 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師
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Keywords | 物質移動 / 水和反応 / 組織形成 / ひび割れ / クリープ / 乾燥収縮 / 自己収縮 |
Research Abstract |
(1)物質移動とセメントの水和反応および細孔構造形成に関する連成解析モデルDuCOMと,鉄筋コンクリート動的非線形応答解析システムCOM3との平行演算処理システムを構成して,両者の連関を逐次考慮可能な計算システムの構築を行った。ここで,3次元応力状態でのひび割れ発生方向,ならびにその方向における応力開放を行う方法を組み入れた。 (2)これを用いて,コンクリートブロックの初期材齢時の体積変化,初期ひび割れ,初期乾燥を受けるコンクリートはりのクリープ変形について検証を行った。解析自体が問題なく進行すること,解析精度においては現時点で不十分ながら,定性的に妥当な結果が得られることを確認した。 (3)水分,熱エネルギーの他に,二酸化炭素,酸素,塩分の物質移動モデルを上記(1)に追加を行い,相互連成が可能なシステムにレベルアップを図った。また,鉄筋腐食モデルを組み入れて,水分・酸素濃度・温度・塩分の消費とそれによって励起される拡散を取り扱えるようにした。腐食モデルについては,まだ検証はできておらず,次年度に集中的に検討を行う。 (4)骨材とセメントペーストから構成される硬化途上のコンクリート構成則の開発に着手し,枠組みを完成させ,(1)の連成システムに組み入れた。これにより,乾燥途上のコンクリートのクリープ変形も扱えるようになった。この結果,外的に力を受けない状態で乾燥をうけるコンクリートの変形と,水分逸散を遮断した状態で外的に持続荷重を受けるときのコンクリートの変形は,両者量ね合わせが効かないこと(Pickett効果)が,解析的に示された。
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[Publications] Mabrouk,R., Ishida,T. and Maekawa,K.: "Solidification model of hardening concrete composite for predicting creep and shrinkage of concrete" コンクリート工学年次大会論文集. (発表予定).
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[Publications] 石田哲也, Chaube,R.P. 前川宏一: "物質エネルギーの生成・移動と材料力学的挙動の統合解析システム" コンクリート工学年次論文報告集. (発表予定).
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[Publications] Chaube,P.R., Kishi,T. and Maekawa,K.: "An integrated computational framework for predicting the long-term durability of cementitious materials" Proc.of CONSEC98. (発表予定).