1998 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート構造の応力損傷場と物質移動の相互連成に関する研究
Project/Area Number |
09450173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 甫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30010664)
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Keywords | 並行演算 / ひび割れ / 自己収縮 / 乾燥収縮 / クリープ / 物質移動 |
Research Abstract |
(1) 前年度において構築された応力ひずみ場と物質移動場の相互連成数値解析システムを基盤として,構成材料モデルの改良と適用範囲の拡張を試みた.具体的には,ひび割れ後の無筋コンクリート及び鉄筋コンクリートの引張軟化モデルを導入した.これにより,材料の体積変化により引き起こされる部材内部応力,ひび割れの取り扱いの他に,外荷重により損傷が発生したRC梁において促進される物質侵入現象に関して,本手法を用いて妥当な解を算出するに至った. (2) (1)のシステムに組み入れる材料モデルの中で,水分,水和反応及び熱移動によって励起される材料の体積変化を評価しなければならない.温度変化に対しては,従来の手法通り,熱膨張係数から精度良く算出する事が可能である.水和反応及び水分移動に関連する体積変化においては,空隙構造形成と水分平衡から微細な空隙に形成される表面張力を評価する事で算出する手法を示した.これは,従来から硬化収縮及び乾燥収縮として個別に扱われてきた挙動を連成システムの上で統一するものであり,新しい知見を与えるものである. (3) 前年度において枠組みを構築した,水和反応途上において応力を受けるコンクリートの構成則を,種々の実験/解析を通じて改良した.ここでは,新たにコンクリートを骨材(反応示さない弾性体)と,空隙構造が刻々と変化し,時間依存性を強く呈するマトリックス相に分離し,相互の連関を考慮したsolidification modelを提案した.このモデル化によって,これまで現象として区別されていた基本クリープ,乾燥クリープ,非拘束収縮ひずみを分離せず,全てを包含した形で,同一の手法によって評価可能になった.
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[Publications] 高橋俊樹: "没入型多面ディスプレイを用いた3次元RCひび割れ解析結果のビジュアライゼーション" コンクリート工学年次論文報告集. Vol.20,No.1. 149-154 (1998)
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[Publications] Mabrouk, R.T.: "Solidification model of hardening concrete composite for predicting creep and shrinkage of concrete" コンクリート工学年次論文報告集. Vol.20, No.1. 691-696 (1998)
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[Publications] 石田哲也: "鉄筋コンクリート構造性能の時間軸上での照査に向けて" 第53回土木学会年次学術講演会概要集,共通セッション. 250-251 (1998)
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[Publications] Hosoda, A.: "Safety evaluation system of damaged structures and performance based design" LABSE colloquium CONCRETE MODEL CODE FOR ASIA. (1999)
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[Publications] 石田哲也: "物質・エネルギーの生成・移動と変形・応力場に関する連成解析システム" 土木学会論文集. (1996)
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[Publications] 前川宏一: "微細空隙を有する固体の変形・損傷と物質・エネルキーの生成・移動に関する連成解析システム" 第3回IMLシンポジウム講演集. (1998)