1997 Fiscal Year Annual Research Report
拡散性に著しい差異のある金属間の反応拡散における非平衡特性の解明
Project/Area Number |
09450230
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯島 嘉明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 辰一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50005344)
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Keywords | カ-ケンドール効果 / ダ-ケンの関係式 / マルチプルマーカー法 / 相互拡散 / 多相拡散 / Au-Fe / 異相界面 / 自己拡散 |
Research Abstract |
今日では、2元合金の相互拡散やカ-ケンドール効果について、単相拡散対を用いて得られた実験結果はダ-ケンの関係式によって全く矛盾なく説明されている。しかしながら、2元合金の拡散領域に異相界面が1枚でも存在すると様相は一変する。すなわち、多相拡散対を用いて得られた相互拡散係数や固有拡散係数が単相拡散対から得られたものと一致しない場合がしばしば見いだされている。しかし、そのような差異ががなぜ生じるのか現時点では説明することができない。 我々は上記の問題を解決するために、異相界面が1つだけ存在し、かつ拡散性の異なる拡散対を構成することができるAu-Fe系を選んで相互拡散、カ-ケンドール効果および自己拡散の実験を行っている。カ-ケンドール効果の測定にはマルチプルマーカー法を用いた。マルチプルマーカー法は1個の拡散対におけるマルチプルマーカーの移動測定から広い濃度範囲の固有拡散係数を決定することができる実験方法である。 Au/γ-Fe拡散対の実験結果から、(1)相互拡散における基本式であるダ-ケンの関係式が成立しないこと、(2)γ-Feの著しく低い拡散性がAu側固溶相全体の相互拡散に影響を与えており、それがFe側からの空孔流の不足に起因していることがわかった。さらに拡散対を構成する金属間の濃度差つまり拡散の駆動力の影響を調べるためにAu-Fe/Fe拡散対を用いて実験したところ、(3)Au-Fe/α-Fe拡散対による相互拡散係数はAu/α-Fe拡散対によるより小さいこと、しかしAu-Fe/γ-FeとAu/γ-Fe拡散対においては影響がないことがわかった。このことから、Au/γ-Fe拡散対では異相界面近傍における空孔流が相互拡散を律速していること、およびAu/α-Fe拡散対ではAu-Fe/α-Fe拡散対よりも拡散が促進されている可能性が示唆された。
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[Publications] 飯島嘉明: "Interdiffusion and Multiple Markers Shift in Au-Fe Alloys" Defect and Diffusion Forum. 143-147. 499-504 (1997)
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[Publications] 山崎仁丈: "Fe/Au-Fe拡散対における相互拡散係数" 第18回日本熱物性シンポジウム講演論文集. 193-196 (1997)