1998 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧合成による新規遷移金属化合物の探索と結晶化学
Project/Area Number |
09450238
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝沢 博胤 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90226960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 久典 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (20191364)
島田 昌彦 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (80029701)
上田 恭太 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50271862)
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Keywords | 高圧合成 / 遷移金属化合物 / アンチモン化物 / 圧力誘起相転移 / 強磁性 / スクッテルド鉱型構造 / 熱電変換材料 |
Research Abstract |
3d遷移金属-メタロイド原子系金属間化合物は、結合の性質が金属結合性にイオン性、共有性が加味され、結晶化学、磁性や電気伝導の振る舞いにおいて興味深い物質群であり機能材料の宝庫ともいわれる。本研究では、超高圧力下を反応場とした新規遷移金属化合物の探索研究を行うことを目的とする。 本年度は昨年度に引き続き、アンチモン化物を中心に新規物質の探索を行い、TSb_2組成のダイアンチモナイドにおけるマーカサイト型からQIAl2型構造への圧力誘起相転移とそれに伴う非金属一金属転移を検討した。OSb_2において見出された高配位構造への圧力誘起相転移では,常圧相に固有のSb-Sb共有結合ダイマーが弱められ,より金属的な結合に移行するものと考えられた。 また,体心位置に大きな空洞を有するスクッテルド鉱型結晶構造に,超高圧力下における空格子サイトへの原子挿入を試みた。その結果、CoSb_3の空格子サイトには金属半径で1.7Å程度までの原子挿入が可能で、挿入できる原子の量は合成圧力の上昇とともに増加してゆくことが明らかとなった。特にGe,Sn,Pbを挿入した一連の実験結果から,挿入原子と骨格構造との“結合の強さ"には,挿入原子のサイズ効果が影響することを明らかにした。Sn原子を挿入した場合,8GPaにおける反応では体心位置の空格子は完全にSn原子で占有され,そのSn原子は非常に大きな熱振動を示すことがリートベルト法による結晶構造解析により明らかとなった。これらの原子挿入反応は,熱電材料として有望なスクッテルダイト型化合物群の性能向上のキーポイントとなる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 滝沢博胤: "超高圧焼結により作製したβ-FeSi_2系熱電材料の微細構造と熱電特性の異方性" 粉体および粉末冶金. 44. 39-43 (1997)
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[Publications] 滝沢博胤: "遷移金属-メタロイド系化合物の高圧合成" 高圧力の科学と技術. 6(2). 102-108 (1997)
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[Publications] H.Takizawa: "High Pressure Phase Transition of CrSb_2" The Review of High Pressure Science and Technology. 7. 1043-1045 (1998)
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[Publications] H.Takizawa: "High-Pressure Synthesis and the Magnetic Properties of Chromium Diantimonide" Materials Research Society Symposia Proceedings. 499. 139-143 (1998)
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[Publications] 滝沢博胤: "超高圧プロセスによる新材料開発(特集:熱電変換機能素材とプロセス)" 金属. 68. 1071-1077 (1999)
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[Publications] H.Takizawa: "Atom insertion into the CoSb_3 skutterudite host lattice under high pressure" Journal of Alloys and Compounds. 282. 79-83 (1999)