1997 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス双結晶の高温強度と粒界の原子・電子構造
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09450256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幾原 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70192474)
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Keywords | 双結晶 / アルミナ / ジルコニア / 高分解能電子顕微鏡法 / 電子エネルギー損失分光法 / 分子軌道法 / イメージシミュレーション / 対応粒界 |
Research Abstract |
セラミックスの各種力学特性は、粒界の構造や状態と密接に関係している。従って、高強度でかつ信頼性の高いセラミックス材料を設計するためには、その相関性を明らかにする必要がある。そのためには、粒界の構造・状態の定量的な評価と粒界性格の明確な双結晶を用いた研究が重要となる。本年度は、粒界の定量的高分解能観察と電子エネルギー損失分光法による計測評価手法のセラミックス粒界への適用と方位を系統的に制御したセラミックス双結晶の作製・評価を中心に行った。 セラミックス粒界の構造・状態の定量的評価を行うため、高分解能電子顕微鏡法と像シミュレーションによる同定、電子エネルギー損失分光法と分子軌道法による状態密度分布の同定を行った。その結果、TZPの粒界にはYが偏析しているがその結合状態はZrO_2結晶と近いこと、さらにこれにSiO_2を添加するとYに加えてSiが数nm幅で偏析し、その粒界結合力を増加させることが分かった。また、Al_2O_3の場合、微量の希土類酸化物を添加するとそれが粒界に偏析し、添加元素の価数とイオン半径によって粒界の結合状態が変化することが分かった。さらに、本構造・状態解析手法を一般の金属/セラミックス異相界面にも適用し、その界面構造・電子状態の定量的解析が可能なことを示した。 セラミックス双結晶の作製は、単結晶同士の加熱接合法により行い、ジルコニアの[110]傾角粒界およびアルミナの[1120]傾角粒界を数種類作製した。作製した双結晶の粒界エネルギーを粒界グルービング/AFM法を用いて測定した結果、いずれの場合も粒界エネルギーは傾角に大きく依存し、対応方位関係においてエネルギーカプスが存在することが分かった。また、S7対応粒界を含む一部の粒界を高分解能電子顕微鏡法により観察し、像シミュレーションを行うことによって、粒界の原子構造・配列を決定した。さらに、得られた構造の安定性を分子軌道法により評価し、高分解能法で得られた結果と一致することが分かった。
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[Publications] Y.Ikuhara, Y.Sugawara, I.Tanaka and P.Pirouz: "Atomic and Electronic Structure of the V/MgO interface" Interface Science. 5. 1-12 (1997)
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[Publications] Y.Ikuhara, P.Thavorniti T.Sakuma: "Solute Segragation at Grain Boundaries in Superplastic SiO_2-doped TZP" Acta.Metall.45. 5275-5284 (1997)
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[Publications] Y.Ikuhara, I.Tanaka, P.Thavorniti, T.Sakuma: "Grain Boundary Structure and Chemical Bonding State of Superplastic SiO_2-doped TZP" J.Electro.Micro.46. 467-472 (1997)
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[Publications] H.Yoshida, K.Okada, Y.Ikuhara and T.Sakuma: "Improvement of High-Temperature Creep Resistance in Fine-grained Al_2O_3 due to Zr^<4+> Segregation in Grain Boundaries" Phil.Mag.Lett.76. 9-12 (1997)
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[Publications] Y.Ikuhara, P.Thavorniti and T.Sakuma: "Grain Boundary Characterization of Superplastic Ceramics by HREM and AEM" Mater.Sci.Forum. 243-245. 345-350 (1997)
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[Publications] Y.Ikuhara and P.Pirouz: "HRTEM Studies of Metal/Ceramics Interface with Large and Small Misfit Parameters" Microscopy Research and Technique. 40. 206-241 (1998)