1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子軌道法による水素吸蔵合金の特性評価と高水素容量マグネシウム系合金の設計
Project/Area Number |
09450260
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50293676)
江崎 尚和 鈴鹿工業高等専門学校, 助教授 (80160357)
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Keywords | 水素 / 水素吸蔵合金 / 分子軌道法 |
Research Abstract |
クリーンな水素エネルギーは、次世代の重要なエネルギー源である。いろいろな水素関連材料の中でも、水素吸蔵合金は特に重要である。これは、単に水素の貯蔵材料としてのみならず、ニッケル-水素電池の電極材料としても注目を集めている。 本研究の目的は、これまで専ら試行錯誤によって開発されてきた水素吸蔵合金の分野に、分子軌道法を初めて導入し、合理的な材料設計を行うことにある。平成9年度は、主要水素吸蔵合金の電子状態をDV-Xα分子軌道法を用いて計算し、その吸収・放出物性を評価した。以下の結果が得られた。 1.AB_2型合金のZrMn_2において、その水素化物の安定性は、水素を取り囲む2個のジルコニウム原子と2個のマンガン原子からなる四面体の骨組の化学結合の大きさに左右されていることがわかった。合金元素を添加したときの水素化物の安定性の変化もこの考え方によって理解できる。一方、固溶体型bccバナジウム合金の水素化物(VH_2)の安定性は、バナジウム-水素原子間の化学結合の大きさによって理解できる。 2.これらの計算を基に、種々の水素化物の安定性についての統一的な考え方を導いた。水素化物の結晶構造がもとの金属化合物のそれとあまり違わないときには、水素化物の安定性はもとの金属化合物の金属原子同志の結合の大きさと、それが水素が入ったときにどのように変わるかによって決まる。一方、水素化物の結合構造がもとの金属化合物のそれと大きく違うときには、金属原子同志の結合よりも、むしろ金属-水素原子間の化学結合が水素化物の安定性に大きく関与している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Matsumura, H.Yukawa and M.Morinaga: "Alloying Effects on the Electronic Structures of ZrMn_2 Intermetallic Hydride" J.Alloys and Compounds. (印刷中).
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[Publications] T.Matsumura, H.Yukawa and M.Morinaga: "Alloying Effects on the Electronic Structures of VH_2 and V_2H" J.Alloys and Compounds. (印刷中).