1998 Fiscal Year Annual Research Report
模型固定化酵素反応器を組み込んだ擬似移動層型反応分離装置の開発
Project/Area Number |
09450291
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋本 健治 京都大学, 工学研究科, 教授 (20025919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 紳 京都大学, 工学研究科, 助手 (70243045)
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 助手 (60231271)
増田 隆夫 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20165715)
|
Keywords | 擬似移動層 / 反応分離 / クロマトグラフィックリアクター / ラクトスクロース / β-フラクトフラノシダーゼ / 固定化酵素 / 模型酵素反応器 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,酵素反応とクロマト分離とを組み合わせた擬似移動層型反応分離装置の適用により,ラクトスクロースを高収率で製造するプロセスを開発することである。今年度得られた主な成果は以下の通りであり,各実験における糖濃度の測定には今回購入した高速液体クロマトグラフ送液ユニットとLC用オートインジェクタ,LC用データ処理装置を用いた。 1. 固定化酵素反応器での反応速度解析 イオン交換樹脂に固定化した酵素を充填した反応力ラムと中空糸型限外ろ過膜に酵素を封じ込めた反応器の2種類を用いて,ラクトスクロース生成反応ならびにスクロースとラクトスクロースの加水分解反応について反応速度解析を行い,反応機構ならびに反応速度式を決定した。酵素を樹脂に固定化すると,ラクトスクロース選択率が低下した。限外ろ過膜を用いた場合は,反応器内が完全混合状態に近づくため,溶液の場合よりもわずかに選択性が低下することがわかった。 2. 擬似移動層型反応分離装置による実験 上記の実験結果を基に,固定化酵素反応器を擬似移動層装置に組み込み,反応分離実験を行った。樹脂に固定化した酵素を用いて50℃で実験を行なった場合,ラクトスクロース選択率は60%であった。酵素溶液を用いた場合には,50℃でラクトスクロース選択率71%で収率は51%となった。 3. 擬似移動層型反応分離装置の数値解析 酵素溶液を供給する場合と固定化酵素反応器を組み込んだ場合の擬似移動層型反応分離装置の数値解析を行った結果,擬似移動層型反応器の適用により,ラクトスクロース合成反応の逆反応はほとんど進行しなくなることが確認できた。固定化酵素反応器を組み込む場合には,反応器1カラムあたりの単通反応率を下げ反応カラム数を増やすことにより,実験結果よりもさらに収率が向上すること,ならびに,膜型酵素反応器を使用する方が,収率が向上することが明らかとなった。
|