1997 Fiscal Year Annual Research Report
カリックスアレーン化合物の分子、イオン認識機能の利用による高度分離システムの開発
Project/Area Number |
09450293
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助手 (70243996)
吉塚 和治 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70191567)
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Keywords | カリックスアレーン / イオン認識 / 鉛 / カルボン酸型カリックスアレーン / 4級アンモニウム型カリックスアレーン / 高脂溶性カリックスアレーン / 溶媒抽出 / 希土類元素 |
Research Abstract |
(1)カルボン酸型p-tert-オクチルカリックス[4]アレーンの金属イオン認識機構の解明 上記抽出剤を用いて鉛(II)、銀(I)、マンガン(II)等の一連の金属イオンの抽出における量論関係を連続変化法やロ-デイングテストにより調べた。その結果、鉛以外の金属は金属:抽出剤が1:1の量論比で抽出されるのに対して鉛では2:1の比率で抽出されることが分かった。このことはH-NMRによっても調べられ、カリックスアレーンの環内で2つの鉛イオンが錯形成している可能性もありうるという興味深い結果が得られた。さらに6600ppmの大過剰の亜鉛中から13ppmの鉛を選択的に認識可能なことも明かとなり、鉛の優れたイオン認識物質であることを見出した。 (2)4級アンモニウム塩型カリックスアレーン化合物の合成と希土類元素の抽出特性の研究 upper rimにtriethylmethylammonium nitrateの官能基を導入したカリックスアレーン化合物を合成し、硝酸アンモニウム水溶液中からの希土類元素の抽出を行い、他の4級アンモニウム化合物と同様にランタン等の軽希土に対して高い選択性を有することを見出した。しかし有機溶媒に難溶性であるため、抽出試薬よりも樹脂にして使用すべきことが分かった。 (3)混合アルキル型カリックス[4]アレーンカルボン酸誘導体の合成 upper カリックスアレーン化合物の油溶性を高めるため、rimにtert-オクチル基、-ブチル基、-アミル基を非対称に導入した数種のカリックス[4]アレーンカルボン酸誘導体の合成を行い、クロロホルム、トルエン、ヘキサン、ケロシンに対する溶解度を測定した。その結果ブチル基とオクチル基を有するものが最も高い油溶性を示すことが分かった。
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