1999 Fiscal Year Annual Research Report
カリックスアレーン化合物の分子、イオン認識機能の利用による高度分離システムの開発
Project/Area Number |
09450293
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助手 (70243996)
吉塚 和治 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70191567)
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Keywords | カリックスアレーン / イオン認識 / 計算機化学 / ホスト-ゲスト化学 / 金属イオン / カリックスアレーン樹脂 / 鉛イオン / 吸着 |
Research Abstract |
カリックスアレーン化合物の特異なイオン認識現象発現のメカニズムを計算機化学手法により明らかにすることを試みると共に、その実用化を目ざしてカリックスアレーン化合物の樹脂を合成し、その認識機能を検証した。 1)計算機による定量的構造-物性相関(QSPR)の予測計算の研究 カルボン酸型のカリックスアレーン化合物のランタノイド錯体の構造と立体エネルギーを分子力学法により計算した。また分子構造が簡単で既に多くの抽出情報がある様々な酸性燐化合物の錯体についても計算を行い、前者と比較した。この場合の計算法は配位子-金属-配位子変角相互作用として独立したpoint-on-sphere型1-3非結合性相互作用ポテンシャル関数を用い、伸縮振動として調和振動し型ポテンシャル関数を用いたシンプルなモデルで表された。このような分子力学法を用いてランタンイオンを基準にしたランタノイドイオンの相対的な抽出平衡定数の比と錯形成過程に関与する各分子の立体エネルギーの変化との関係を求めたところ良好な直線関係を有するQSPRが得られた。 2)カルボン酸型カリックスアレーン樹脂の合成とイオン認識機能の評価 カルボン酸型のカリックス[4]アレーンをトリオキサンを用いて架橋することにより樹脂化することに成功した。この樹脂を用いて様々な金属イオンの吸着実験を行ったところ選択性の序列は鉄(III)>鉛>>銅(II)>亜鉛>ニッケル〜コバルト(II)となることが分かった。また鉛イオンの最大吸着量は2.44mol/kgとなった。この樹脂を充填したカラムにそれぞれ100ppmの亜鉛と鉛を含む水溶液を通液したところ良好な分離が見られた。また溶離を行ったところ鉛が純粋な形で30倍以上に濃縮された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Yoshizuka,Y.Fujimoto,K.Ohto,K.Inoue: "Solvent extraction and QSPR of catecholamines with a bis(2-ethyl hexyl) hydrogen phosphate"J.Chem.Eng.Japan. 31巻1号. 76-81 (1999)
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[Publications] 吉塚和治、井上勝利、P.Comba: "分子力学法を用いたランタノイドイオンの抽出平衡の定量的構造物性相関"化学工学論文集. (印刷中).
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[Publications] K.Yoshizuka,K.Inoue,K.Ohto,K.Gloe,H.Stephan,T.Rombusch,P.Comba: "QSPR of extractability trends of lanthaxoid series using a novel molecular mechanics calculations"Proceedings of ISEC' 1999. 6 (2000)