1998 Fiscal Year Annual Research Report
免疫センサー用人工抗体の分子構築とその応用に関する研究
Project/Area Number |
09450301
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長棟 輝行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多山 篤 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70270882)
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Keywords | 免疫測定法 / オープンサンドイッチ法 / 抗体可変領域 / 抗体HyHEL-10 / 抗NP抗体 / アルカリホスファターゼ |
Research Abstract |
本研究は、申請者らのグループが世界に先駆けて開発した全く新しい原理に基づく免疫測定法、すなわち「抗原の存在によって誘導される可変領域断片VH、VLの複合体形成現象」を利用したオープンサンドイッチ法の適用範囲を広げることを狙ったものである。このような方法の開発によって、さまざまの単価抗原、多価抗原の濃度を全く同じ方法で、極めて高速かつ簡便で再現性良く測定できる免疫測定法の実用化が期待できる。 本年度は、大腸菌由来のアルカリホスファターゼ(phoA)と種々の抗体可変領域VHとの融合蛋白質ならびに抗体可変領域VLの大腸菌での発現系の構築、これらの材料を用いた免疫測定系の構築を行なった。具体的には、昨年度までに抗原誘導型複合体形成能が確認された抗体を対象として、多価抗原に対する抗体の代表として抗ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)抗体HyHEL-10のVH、単価抗原に対する抗体の例として抗NP抗体のVHをそれぞれ用いて融合蛋白質を作製した。HyHEL-10のVHとphoAの融合蛋白質を用いた系では、抗原HELの1ng/l以上の濃度範囲で再現性良く測定できることがわかった。一方、抗NP抗体のVHとphoAの融合蛋白質を用いた系では、バックグラウンドが高く、抗原NPの数百ng/l以上の濃度範囲でのみ測定が可能であった。このようにバックグランドが高かった原因として、抗原NPが存在しない場合の可変領域VH、VL間の結合定数と、抗原NP、VH、VL3者間の結合定数との差が1桁であり、抗体HyHEL-10の場合の4桁と比較して、不十分であったことが考えられる。今後は、VH、VL間の結合定数をもっと小さくし、抗原NP、VH、VL3者間の結合定数をもっと高くするようなアミノ酸置換をVHに導入し、抗NP抗体可変領域VHの分子認識特性の改変を図る必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Suzuki, C.et al.: "Open Sandwich ELISA with VH-/VL-Alkaline Phosphatase Fusion Proteins" J.Immunol.Methods. (in press). (1999)
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[Publications] 上田 宏ら: "新たな免疫測定法" 遺伝子医学. 3・1. 170-175 (1999)
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[Publications] 上田 宏ら: "カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ-プロテインGキメラ蛋白質の作製とその免疫測定への応用" 化学工学論文集. 24・2. 169-173 (1998)
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[Publications] Arai, R.et al.: "Construction of Chimeric Proteins between Protein G and Fluorescence-Enhaanced Green Protein, and Their Application to Immunoassay" J.Ferment.Bioeng.86・5. 440-445 (1998)
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[Publications] Suzuki, C.et al.: "Construction, Bacterial Expression, and Characterization of Hapten-Specific Single-Chain Fv and Alkaline Phosphatase Fusion Protein" J.Biochem.122. 322-329 (1997)