1999 Fiscal Year Annual Research Report
結晶化過程におけるキラル識別機構の解明とそれを利用した普遍的光学分割法の確立
Project/Area Number |
09450330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80016154)
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Keywords | 光学分割 / ジアステレオマー塩法 / クリスタルエンジニアリング / 水素結合 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,アミノアルコールに対し優れた分割能を有する新規酸性分割剤の開発を検討した。アミノアルコールの水酸基と水素結合を形成することを期待し,アミドカルボニル酸素を有するα-alky1-1-oxo-2-isoindolinineacetic acid(1)を新規酸性分割剤として設計した。1の光学活性体は光学活性アミノ酸から容易に誘導することができ,アルファ位に種々の置換基(メチル基,2-プロピル基,フェニル基など)を有する化合物を得た。これらの分割剤を用いて種々のアミノアルコールの光学分割を検討したところ,これらは環状アミノアルコールに対し比較的良好な分割能を有していることがわかった。また,晶出した難溶性塩結晶中では,カルボキシレート酸素とアンモニウム水素との水素結合により,カラム状の水素結合ネットワークが形成されており,さらに分割剤のアミドカルボニル酸素とアミノアルコールの水酸基との間の強固な水素結合により,このカラム状構造が強く安定化されていることがわかった。今後は,より一般的な非環状アミノアルコールの分割の際にも,アミドカルボニル酸素-水酸基間の水素結合形成によりカラム状水素結合ネットワークを補強できるような分割剤の設計を試みる。 一方,前年度,2-Naphthylglycolic acidによる不斉識別機構において,ナフチル基によって形成されるCH・・・π相互作用が大きな役割を果たしていたことに着目し,ナフタレン環を有する新規塩基性分割剤として,trans-1-amino-benz[f]indan-2-ol(2)を設計した。現在2の光学活性体の大量合成法を検討している。
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[Publications] T. Kohara ら: "Design, Synthesis, and Optical Resolution of a Novel Non-natural Chiral Auxiliary, 1-(2,5-Dimethoxyphenyl)ethylamine. Application to Diastereomerective Alkylation on of Aldimines"Tetrahedron. 55. 6453-6464 (1999)
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[Publications] T. Kohara ら: "A new non-natural chiral auxiliary ; design, synthesis and resolution of 1-nesityl ethylamine and its application in the asymnetric aza-Diels-Alder reaction"Tetrahedron : Asymmethy. 10. 4831-4840 (1999)
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[Publications] K. Kinbara ら: "Chiral Discrimination of 2-arylalkanoic acids by (1S,2R)-1-amino-2-indonol through the formation of a consistent columu*nar hydrogen-bond network"Journal of the Chemical Socity, Derkin Ttansactins 2. 111-119 (2000)
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[Publications] K. Kinbara ら: "Effect of a substituent on an Aromatic Gronp in Diastereomeric Resolution"Tetrahedron. (in press).