1997 Fiscal Year Annual Research Report
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09450336
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮浦 憲夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10002049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 靖典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30271646)
石山 竜生 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00232348)
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Keywords | チオホウ素化 / パラジウム触媒 / ジホウ素化合物 / ジホウ素化 / 白金触媒 / アリル型ホウ素化合物 / 触媒的異性化 / ボリルメチル亜鉛試薬 |
Research Abstract |
我々は有機ホウ素化合物を用いた新しい有機合成反応の開発に取り組み、ホウ素化合物に特徴的な新規反応を開発してきた.特に、我々が最近継続して研究している遷移金属触媒を用いるホウ素化合物の反応は、ホウ素単独では成し得なかった様々な利用が可能であり、有機合成への応用範囲を飛躍的に増大することに成功した.本研究では以下の課題に従い、遷移金属触媒反応を利用したホウ素反応剤の開発とそれを利用する選択的有機合成反応について調査した. 1.アルキンの触媒的チオホウ素化反応による有機合成(担当:石山、宮浦) 我々は先に、パラジウム触媒存在下RS-9-BBNが末端アルキンにシス付加反応することを報告した.反応により生成するβ-アルキルチオビニルホウ素化合物は、チオ基の影響で異常に高い求核性を有する.カルボニル化合物への1,2-または1,4-付加反応とそれに続くチオ基の加水分解によるクロスアルドール合成を調査した.また、有機ハロゲン化物とのクロスカップリング反応ではビニルスルフィドの立体選択的合成法を確立した. 2.ジホウ素化合物を利用する有機合成(担当:石山、宮痛) 最近我々は、ジホウ素化合物が白金触媒下アルキンにシス付加することを報告した.反応は有機分子中に二個のホウ素基を同時に導入できる初めての例であるが、反応機構の精査と有機合成への応用を調査した.反応は、アルケン、ジエン、アレンなど様々な不飽和結合で進行した.また、近年クロスカップリング反応に多用されているアリールボロン酸の直接合成法を開発する目的から、ジホウ素化合物とハロゲン化アリールのクロスカップリング反応についても検討した. 3.芳香族系有機材料開発を目的としたビアリール合成(担当:宮浦、山本) ビアリールは機能性芳香族系材料として医薬品、液晶開発の炭素骨格に利用されている.これらの簡便かつ経済的合成法を開発する目的からニッケル触媒によるクロロベンゼンのカップリング反応を調査した.配位子にdppf、塩基にリン酸カリウムを用いるとクロロベンゼン上の置換基に左右されることなくビアリールが得られることを見出した. 4.アリル型ホウ素反応剤の開発(担当:山本、宮捕) アリル型ホウ素試薬は、ジアステレオ選択的アリル化剤として有機合成に利用されているが、合成法に対する新しい展開は少ない.以下に示した合成法の開発を行い、有機合成への利用を調査した. (1)ボリルメチル亜鉛試薬とハロアルケンのカップリング反応によるアリル型ホウ素化合物の合成と分子内反応への応用. (2)γ-アルコキシアリルホウ素化合物はジオール誘導体のジアステレオ選択的合成試薬として有用であるが、触媒的二重結合異性化による短段階合成法を開発した.また、ジオールの不斉合成も達成した. (3)研究計画2で使用したジホウ素化合物とアリルアセタ一トのクロスカップリング反応による直接合成法の開発に成功した.
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Research Products
(10 results)
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[Publications] T.Ishiyama and N.Miyaura: "Synthesis of Arylboronates via Palladium-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Alkoxydiboron with Aryl Halides or Triflates." Current Topics in the Chemistry of Boron,Royal Society of Chemistry. 92-95 (1997)
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[Publications] T.Ishiyama, M.Yamamoto and N.Miyaura: "Diboration of Alkenes with Bis(pinacolato)diboron Catalysed by Platinum(0) Complex." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.689-690 (1997)
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[Publications] T.Ishiyama, Y.Itoh, T.Kitano and N.Miyaura: "Synthesis of Arylboronates via the Palladium(0)-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Tetra(alkoxo)diborons with Aryl Triflates" Tetrahedron Lett.,38,3447-3450 (1997). 38. 3447-3450 (1997)
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[Publications] S.Saito, S.Oh-tani and N.Miyaura: "Synthesis of Biaryls via a Nickel(0)-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Chloroarenes with Arylboronic Acids." J.Org.Chem.62. 8024-8030 (1997)
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[Publications] T.Ahiko, T.Ishiyama and N.Miyaura: "A Sequence of Palladium-Catalyzed Borylation of Allyl Acetates with bis(pinacolato)diboron and Intramolecular Allylboration for the Cyclization of Oxo-2-alkenyl Acetates." Chem.Lett.811-812 (1997)
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[Publications] T.Ishiyama, N.Miyaura and A.Suzuki: "Palladium(0)-Catalyzed Reaction of 9-Alkyl-9-borabicyclo-[3.3.1]nonane with 1-Bromo-1-phenylthioethene:4-(3-Cyclohexenyl)-2-phenylthio-1-butene" Organic Syntheses. (印刷中). (1997)
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[Publications] 宮浦憲夫: "アリールボロン酸のクロスカップリング反応を利用するビアリール合成 (1)" ファインケミカル. 26・6. 5-15 (1997)
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[Publications] 宮浦憲夫: "アリールボロン酸のクロスカップリング反応を利用するビアリール合成 (2)" ファインケミカル. 26・7. 13-26 (1997)
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[Publications] M.Sakai, H.Hayashi and N.Miyaura: "Rhodium-Catalyzed Conjugate Addition of Aryl-or 1-Alkenylboronic Acids to Enones" Organometallics. 16. 4229-4230 (1997)
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[Publications] N.Miyaura: ""Group 2 (Mg) Metal Compounds and Group 13 (B,Al) Metal Compounds" in "Synthesis of Organometallic Compounds:A Practical Guide"" Ed.by S.Komiya,John Wiley & Sons Ltd, 433 (1997)