1997 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性を有する多置換テルペノイドクロマンの不斉全合成
Project/Area Number |
09450339
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
井上 誠一 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90017939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 清 横浜国立大学, 工学部, 助手 (60231578)
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Keywords | 3-ヒドロキシクロマン / [2,3]シグマトロピー転位 / 4-ヒドロキシフタリド / 分子内環化反応 |
Research Abstract |
[2,3]シグマトロピー転位反応によるフェノールのオルト位選択的なアルキル化を基軸として、多置換3-ヒドロキシクロマンのエナンチオ選択的合成法を確立し、この方法を応用して種々の生理活性天然有機化合物の立体選択的合成法を確立する目的で研究を実施し、本年度は次のような結果を得た。 1.ゲラニオールおよびネロールを出発原料としてエポキシ化、Payne転位等を経てスルフィドジアセタートをジアステレオ選択的に合成することができた。次にこれとp-クレゾールとの[2,3]シグマトロピー転位反応によるオルトアルキル化反応は収率よく進行し、目的とする二置換フェノールを合成することができた。 2.得られた化合物を、脱硫、脱保護、保護、エポキシ化を経てエポキシドに誘導し、さらに、エポキシドの環化反応による3-ヒドロキシクロマンの合成について検討した。この閉環反応では二置換オキシラン炭素上で立体反転で求核置換が起こり、6員環生成物のみが位置選択的およびジアステレオ選択的に得られた。 3.4,6-ジヒドロキシフタリド誘導体の合成について検討し、3,4-ジヒドロキシ安息香酸から合成する方法を確立した。次に、これに対する[2,3]シグマトロピー反応アルキル化について検討したところ、一方のヒドロキシル基をメチルエーテルまたはアセチル体として保護した場合は、反応が極めて低収率でしか進行しないことがわかり、他の適当な保護基を選択する必要が生じた。
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[Publications] 井上 誠一: "神経成長因子活性を示すテルペノイドクロマン化合物の立体選択的合成" 第41回香料・テルペンおよび精油化学討論会講演要旨集. 41. 126-128 (1997)
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[Publications] 宮崎 秀和: "サリチルアルデヒドと種々の置換基を有する不飽和アルコールを用いる合成" 第34回有機合成化学協会関東支部シンポジウム講演要旨集. 34. 38-39 (1997)
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[Publications] 井上 誠一: "分子間Diels-Alder反応による複素ビシクロ環化合物の合成研究" 第34回有機合成化学協会関東支部シンポジウム講演要旨集. 34. 40-41 (1997)
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[Publications] 井上 誠一: "硫黄イリドの[2,3]シグマトロピー転位反応を用いた3-ヒドロキシクロマンの立体選択的合成" 日本化学会第76春季年会講演予稿集. II. ID131 (1998)