1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450342
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 工学部, 教授 (00144329)
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Keywords | クロム(II) / ラジカル / 3分子連結反応 / ビタミンB_<12> / タンタル / イミン錯体 |
Research Abstract |
本年は、低原子価の金属塩としてクロム(II)を取りあげ、クロム(II)から有機化合物への電子の移動を制御することにより、炭素ラジカル種や陰イオン種を発生させ、その炭素-炭素結合形成反応への応用を検討した。クロム(II)の還元力は、マグネシウムやサマリウム(II)ほど強くないので、二級あるいは三級ヨウ化アルキルにクロムを作用させると、その1電子還元によりラジカルが生じる。この系中に1,3-ジエンとアルデヒドを共存させておくと、それら3分子をone-potで連結できることが明らかになった。ラジカルと陰イオン種を連続的に発生させることにより、分子間の多段階反応を一挙に行なうという新しい手法を開発・提唱することができた。さらに、α-ハロアルキルホウ酸エステルをクロム(II)で還元し、生じるラジカルの利用も報告した。また、クロム(II)とともに触媒量のビタミンB_<12>と少量の水を作用させることにより、1,3-ジエンからアリルクロム反応剤を調製する新手法も見いだした。 クロム(II)以外では、低原子価タンタルを用いる反応について研究した。塩化タンタル(V)を亜鉛で還元して得られる低原子価タンタルに、イミンを加えると、η^2のタンタル-イミン錯体が合成できることを見いだした。この錯体の単結晶X線構造解析を行なうとともに、その錯体のケトンやイソシアナートなどへの反応性について検討した。 また、以上の研究成果は、学術論文および口頭発表として報告した。
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[Publications] Kazuhiko Takai,N.Matsukawa A.Takahashi,T.Fujii: "Three-Component Coupling Reactions of Alkyl Iodides,1,3-Dienes,and Carbonyl Compounds by Sequential generation of Radical and Anionic Species with CrCl_2." Angew.Chem.Int.Ed.Engl.37巻1/2号. 152-155 (1998)
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[Publications] Kazuhiko Takai,N.Shinomiya,M.Ohta: "Generation of α-Boryl Radicals by Reduction of α-Haloalkylboronic Esters with CrCl_2." Synlett. 3号. 253-254 (1998)
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[Publications] Kazuhiko Takai,C.Toratsu: "B_<12>-Catalyzed Generation of Allylic Chromium Reagents from 1,3-Dienes,CrCl_2,and Water." J.Org.Chem.63巻19号. 6450-6451 (1998)
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[Publications] Kazuhiko Takai,T.Ishiyama K.Mashima,K.Tani他: "Isolation and Reactions of a Tantalum-Imine Complex TaCl_3(dme)(PhCH=NCH_2Ph)." Organometallics. 17巻23号. 5128-5132 (1998)