1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450342
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 工学部, 教授 (00144329)
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Keywords | クロム(II) / 亜鉛 / マンガン / gem-ジクロム反応剤 / ヨウ化アルケニル / アルケニルシラン |
Research Abstract |
本年は、低原子価の金属塩としてクロム(II)を取りあげ研究を行なった。塩化クロム(II)は、ニッケルなどが含まれていない高純度のものになると安価ではない。また、使用した後の廃棄の点からも触媒量に減らせるほうが望ましい。さらに、酸化されやすく潮解性もあり、取扱いもグローブバッグなどが必要となるため、安価なクロム(III)塩を反応系中で還元して発生させることができればさらに扱いやすくなる。クロム(II)の必要量が多い反応としては、gem-ジクロム反応剤によるアルデヒドのオレフィン化反応があげられる。還元されるハロゲン原子が2個あるので、必要なクロム(II)の量も倍増する。従って、この反応ではクロムの触媒化は大きな意味を持つ。亜鉛を還元剤として用いることで、アルデヒドからE体のヨウ化アルケニルヘの変換を触媒量のクロム(III)塩で行なうことに成功した。また、この反応で亜鉛の代わりにマンガンを用いると、ヨウ化アルケニルではなく、one-potでE体のアルケニルシランが得られることも見いだした。アルケニルシラン合成反応では、マンガンはクロム(III)を還元して触媒サイクルを形成することに用いられているだけでなく、ヨードホルムのヨウ素1つだけを選択的に還元し、Me_3SiClでの捕捉によるMe_3SiCHI_2の調製にも働いている。 以上の研究成果は、学術論文および口頭発表として報告した。
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[Publications] K.Takai,T.Ichiguchi,S.Hikasa: "A Practical Transformation of Aldehydes into (E)-Iodoalkenes with Geminal Dichromium Reagents"Synlett. 8号. 1268-1270 (1999)
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[Publications] K.Takai,S.Hikasa T.Ichiguchi,N.Sumino: "One-pot Transformation of RCHO to (E)-RCH=CHSiMe_3 Using CHI_3,Mn,Me_3SiCl and a Catalytic Amount of CrCl_2"Synlett. 11号. 1769-1771 (1999)