1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450348
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
板垣 秀幸 静岡大学, 教育学部, 助教授 (10159824)
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Keywords | 蛍光 / 光応答性 / イオン輸送 / クラウンエーテル / 金属錯体 / 配位 / エキシマー / NMR |
Research Abstract |
前年度までに「光誘起クラウンエーテル」 (Photo-Induced Crown Ethers,PIC) の概念を証明することに我々は成功したので、本年度は、さらに、金属イオンの種類を変化させることと、金属イオンの捕捉形態について明らかにすることを試みた。また、光照射による金属イオン輸送の実験をより定量化するために、新たなセルシステムを作製し、オキシエチレン(OE)鎖のサイズ依存性だけではなく、照射時間や成分の依存性など、詳細なデータを取ることに成功した。PICは、OEオリゴマーの両末端にピレニル(Py)基を導入して合成し、OE単位数をnとし、Py基とOE鎖をエステル基で結合する際のスペーサーとしてのメチレン単位数をmとし、DPmnと名付けた。一方、測定した金属イオン種は、Mg^<2+>、Li^+、Na^+、Ag^+、K^+、Cd^<2+>、Ca^<2+>である。DPmnと金属イオンの間の相互作用が強い組み合わせは、DP13によるLi^+・Na^+、DP16によるMg^<2+>・Na^+、DP14とDP34によるCd^<2+>、DP15・DP35によるCa^<2+>、などである。スペーサーの短いDP1n系では、イオン捕捉時に、Py基間のエキシマー形成が阻害されるため、実際に光照射時に輸送するイオン量はDP3nよりも落ちる。金属イオンのサイズと、DPmnの捕捉能力は、必ずしも一致していないので、金属イオンとDPmnが作る配位の構造は多種多様で、金属イオンのサイズに合わせて環を歪ませたり、1イオンに2分子が配位することもあると考えられる。これらの結論を総括すると、(1)DPmnはその分子サイズに応じた金属イオンと選択的な相関を示す。(2)相関の高いDPmnと金属イオンは、常に緩い捕捉関係にあり、(3)光照射によりイオンを捕捉した状態が調整され、より安定に固定されることで、DPmnによる効率のよい金属イオン輸送が行われるという機構が明らかになった。
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Research Products
(1 results)