1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450361
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90167164)
|
Keywords | ガラス転移 / 高分子材料 / 粘弾性 / ポアソン比 / 体積緩和 |
Research Abstract |
本研究は,ポアソン比あるいは体積変化を精密に測定することによって,高分子物質の伸長過程における分子の凝集状態の変化を調べ,材料特性改善の基礎知識を得ようとするものである.固体表面から散乱されるスペックル光の変化からひずみを測定する高精度レーザーストレイアナライザーを本研究費により購入した.これを引っ張り試験器に取り付けることにより,伸張過程でのポアソン比もしくは体積変化を,1KHzのサンプリング周波数で経時的に測定することができる装置を開発した.現在のところ測定可能な温度範囲は室温から150℃であり,来年度中に室温以下での測定を可能にする予定である.透明試料について適用するには,表面からのスペックル光の強度を上げるため,表面上に微少な錯乱体を塗る必要があった.種々の材料,方法等を試したところ,現時点では市販の白色塗料を利用するのが,精度,再現性等において最もよい結果を与えた. この手法を用いて,ポリスチレンについて定速-軸伸長およびクリープの過程における横方向の変形を測定し,ポアソン比の時間変化を求めることを試みた.ガラス転移温度以上,あるいはガラス転移温度以下では,ポアソン比は時間に対しては変化せず,それぞれ0.5及び0.3程度となったが,ガラス転移温度近傍ではポアソン比は時間とともに変化し,その過程を追跡することに成功した.現在,ポアソン比がひずみ量に依存するガラス転移温度近傍おいて,大変形過程での測定を進めており,これらの結果に基づき,ガラス状領域での応力と変形に関して応力-ひずみ関係式(構成方程式)について考察し,ガラス状態における応力の発生機構や降伏現象に関する微視的描像について検討している.
|